天真堂は9月26日、早稲田大学 人間科学学術院 原太一教授との共同研究により新たに開発したオリジナル発酵食品原料「Phagyo(ファジオ)」の研究進捗説明会を本社研究施設「TEN-LABO」にて開催した。
食品原料としては完成済みで、大手企業を含め複数のクライアント企業への紹介もすでに済ませており、できる限り早期の商品化を目指す。
発酵食品は、植物性・動物性食材を微生物(細菌・カビ・酵母等)によって分解させて作り出されるもので、原料と微生物の組み合わせによって、発酵の際に生じる代謝産物は異なってくることや、発酵前の食材よりも風味が増したり、保存性がよくなったり、新たな機能性が生まれることが知られている。
早大 原教授と天真堂の研究メンバーによる合同研究チームは、こうした発酵原料が持つ優位点を最大限に引き出すべく、アメリカ政府が進めるガンに予防効果のある食品を探し、有効な食品を作り出そうという国家プロジェクト「デザイナーフーズ・プロジェクト」において最上位フーズに位置づけられ、古くより医薬品として疾病治療にも使われてきた「ニンニク」にスポットを当て、様々な製法によるアプローチを行った。
その結果、栄養と微生物が豊富な土壌で育った、冬の寒さに耐える生命力がある「国産高原ニンニク(福地六片種)」をペースト化し、加熱・酵母発酵させ、粉末化したもの(特許出願済み)のみ、ヒト培養細胞を用いた実験においてオートファジーを亢進することを突き止めた。
オートファジーは、細胞が持っている細胞内成分をリサイクルする仕組みの1つで、栄養環境が悪化した際のアミノ酸の供給や、細胞内の異常なタンパク質や損傷ミトコンドリアの蓄積を防ぐことで、生体の恒常性維持に機能している。
オートファジーの機能は神経変性疾患やある種のがんなどの加齢に伴う疾患の予防に働くと考えられているが、その活性は年齢を重ねると低下することが知られている。よって、オートファジー機能を高めることができれば、健康増進効果が期待されるという。
「様々な健康増進効果が報告されているニンニクを出発点に加工し直すことで、より活性の高いスーパーフードの開発につながると考えた。研究を進めた結果、今回新たに開発した食品原料『ファジオ』がヒト培養細胞においてオートファジーの亢進効果を示すことがわかった。私の知る限りではオートファジーを亢進する食品はかなり限定されていることから、興味深い食品原料が開発できたと認識している」(原教授)
今後は、ファジオの作用メカニズムや生体における機能性を明らかにしていくことが重要であるようだ。
抗酸化力試験(DPPHラジカル除去能評価)では、生のニンニクの5.5倍、加熱ニンニクの6倍の抗酸化力が確認されている。また、ファジオは生のニンニクと比べ1.5倍の細胞の代謝・増殖を亢進することが確認されている(ヒト線維芽細胞)。