花王、314種の香料の嗅覚特性データベースを構築

粧業日報 2020年1月20日号 4ページ

カンタンに言うと

  • 香料のにおい強度予測が可能に
花王、314種の香料の嗅覚特性データベースを構築
 花王感覚科学研究所は、さまざまな分野の製品の香りを開発する際に頻繁に使用される香料314種の嗅覚特性(においの感じ方)に関するデータベースを構築した。さらに、そのデータを用いて、空気中に気化した香料の濃度(空気中濃度)から、においの強さを予測する技術を開発した。

 今回の研究成果は、2019年7月、米国化学会(ACS:American Chemical Society)が発行する「Industrial & Engineering Chemistry Research」に掲載された。

 香料は種類によって、においを感じられる濃度が異なり、濃度とにおいの強さの関係は一様ではなく、たとえば、ペンタライドという香料は、濃度が低くてもにおいを感じることができるが、濃度を高めてもそのにおいはなかなか強くならないという特徴がある。このような知見は、調香師の経験に依存しており、これまで製品に配合されるそれぞれの香料が、どの程度香りに影響しているかを客観的に把握する方法・技術は開発されていなかった。

 このような課題に対して同社は、香料の特徴をより詳細に把握できれば、香り開発に有用であることに加え、香料をより効率的に使用できるようになると考え、香料のにおい強度予測技術の開発に取り組んだ。

 同社ではまず、におい強度予測技術を開発するため、調香師と訓練を積んだ研究員18名に、におい希釈・提示装置から噴出させたさまざまな濃度の香料サンプルのにおい強度を評価してもらい、314種の香料の嗅覚特性を示すデータベースを構築した。

 この検討から、香料の空気中濃度とにおい強度の関係を把握できるようになり、香料の空気中濃度から、その原料のにおい強度を予測することが可能となった。

 このデータベースをもとにした予測技術の精度を確認するため、香料のにおい強度の実測値と予測値の関係を統計的手法により検証した。その結果、良好な予測精度が得られたことを確認した。

 今後は、この技術を香りの拡散・持続性などの高度な制御に応用することで、香りのパフォーマンスをさらに高め、より一層、生活者に喜ばれる香りの開発を進めていく。また、香料使用の効率化により、香料の製造や輸送に関する温室効果ガス削減など環境課題解決にも貢献していく。
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