資生堂、カバー力と仕上がり両立するリキッドファンデを開発

粧業日報 2020年3月2日号 1ページ

カンタンに言うと

  • コンシーラーとストッキングから着想を得た新処方
資生堂、カバー力と仕上がり両立するリキッドファンデを開発
 資生堂は、従来のベースメークアップの課題であった優れたカバー力と自然な仕上がりを高いレベルで両立する新しいリキッドファンデーションの開発に成功した。

 優れたカバー力をもつ固形コンシーラーに用いられる技術をファンデーションに初めて応用し、それをジェリー状のペーストと組み合わせて塗布膜中にストッキングのような網目構造の意図的な隙間をつくることで、優れたカバー力と自然な仕上がりを両立した。

 この技術は、今春発売するファンデーション「マキアージュドラマティックジェリーリキッド」(4月21日発売予定)に応用されるほか、今後同社のベースメークアップ製品の開発に活用していく。

 ファンデーションには様々な剤型があり、使用感や仕上がりなどそれぞれ異なる特徴をもつ。

 同社が行った調査によると、リキッドファンデーションの使用者はパウダリーファンデーションの使用者よりも高いカバー力を求めているにも関わらず、同時にパウダーファンデーションの使用者以上に、自然な仕上がりになることを求めていることがわかった。

 カバー力を高めるためには、カバー粉末や凹凸補正パウダーの配合量を増やすことが有効だが、粉っぽく、ナチュラルさが損なわれるため、カバー力と自然な仕上がりを両立することは困難とされていた。

 同社ではこれまでにも、単純にカバー粉末の配合量を増やすだけではなく、新規粉末の開発や、最適な粉末の組み合わせの探索、塗布膜を薄く均一にする調整など、カバー力と自然な仕上がりを両立するための研究を進めてきたが、今回さらに高いレベルでの両立を目指して新たなアプローチを探索した。

 今回、高いカバー力を持つ固形コンシーラーをヒントに、新しいアプローチでカバー力の向上を試みた。

 固形コンシーラーには密着成分が配合されており、肌にしっかりとカバー粉末が密着し続けることで高いカバー力を発揮している。この密着成分は室温で固まる性質があるため、固形製品のつなぎとして用いられてきた。

 固形コンシーラーにはこの密着成分を一度高温の油分に溶かしてから配合していたが、今回はこの密着成分を粉末状にしてリキッドファンデーションへ配合する新処方を開発した。

 また、この粉末状の「密着粉末」は半透明で不定形であることから、一般的な凹凸補正パウダーよりも肌との親和性が高く、白浮きせず肌の凹凸に隙間なく密着して表面を整える効果も期待できることがわかった。

 しかし、「密着粉末」の配合により高いカバー効果を出すことに成功したものの、密着力の高さが原因で顔全体へ均一になめらかに塗布することが難しくなり、カバー力も高すぎるが故にナチュラルさが失われてしまった。

 そこで次に、柔らかく伸びて肌にフィットし、自然に肌を美しく見せるストッキングの網目状の構造に着目。今回、なめらかな感触と肌なじみのよい効果を持つジェリー状ペーストと密着粉末を組み合わせることで、使用感と密着度をコントロールすることに成功し、意図的に網目状の構造をつくり出すことで、カバー力を維持しながら自然な仕上がりにすることに成功した。
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