アルビオンは長年使い続けたくなる化粧品の開発を推進する中、2019年9月、化粧水のような使用感と美容液の効果を併せ持つ、新感覚の濃密化粧液「フローラドリップ」を発売した。
自社農園で栽培した5種の厳選植物を純白麹「しらかみ」で発酵させたエキスを配合した「フローラドリップ」は、肌質や肌年代問わず多彩な効果を発揮するほか、独自のテクスチャーや香りで五感に訴えかける使用感が付与されている。
開発背景や特長について、商品開発部専門次長の丸島陽子氏(当時)に話を伺った。
――開発経緯について教えてください。
丸島 当社には「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル(スキコン)」というロングセラー商品があるが、次の柱となるような新たな商品の開発が欠かせないと考えた。
特に、環境や年齢に応じて肌質が変化していく中でも、お客様が長年使い続けたくなるような商品の実現を目指した。
こうした背景から、今まで配合している美容成分とは一味違う肌効果を発揮できる「究極のターゲットフリーを実現した化粧品」として新感触の濃密化粧液「フローラドリップ」を開発した。
「フローラドリップ」は、当社の白神研究所で開発された独自の発酵液「ミュラ」をふんだんに含む点を特長としている。
「ミュラ」は、自然の成り行きに任せた発酵ではなく、あらかじめ得たい肌効果を緻密にデザインすることで、肌質を問わず万能な効果を発揮する新しい概念の発酵液といえる。
「ミュラ」の開発にあたり、これ以上ないフィトケミカルの種類と量を組み合わせるべく白神研究所で有機栽培している多品種の植物から5種のハーブを厳選した。一例として、高い抗酸化効果を有するアントシアニンをもつヤグルマギクなど、多様な特長を持つ植物を選定している。
こうした植物を純白麹「しらかみ」を用い発酵させることで、フラボノイド類やアミノ酸類、各種ビタミン・ミネラル類をはじめ膨大な数の有用成分の濃縮に成功した。
厳重な管理のもと、「計画的な発酵」で寸分違わぬエキスをつくっている点も注力点といえる。
――テクスチャーの開発にはどのようなこだわりがありますか。
丸島 コンセプトに掲げる「お客様が長年使い続けたくなるような化粧品」の要素として、肌効果のほか、五感に訴えかける使用感も重要だと考えている。そのため配合できる処方の中でテクスチャーと香りの設計にこだわった。
テクスチャーの開発では、化粧水では感じられない、化粧液ならではの独特なまろやかさと凝縮した有用成分の浸透感を重視し、濃密なコクがありながらも全くべたつかずクセになる独特の使用感を実現した。
今回開発した「フローラドリップ」は化粧液という当社の中でも新たなカテゴリーであり、スキンケアのどの段階で使用するか一つに限定していない。乳液の後に使用しても化粧水の後に使用しても肌に浸透しぴったりとなじんでいくような感触の設計を目指した。
香りにおいては白神の農園に実際に立っているようなイメージのもと、5種のハーブに含まれる香気成分を組み合わせることで、まろやかでありながらクセになるような香りをデザインした。
この香りには、心穏やかな状態に導きリラクゼーション効果が得られることも確認している。
「フローラドリップ」は昨年9月の発売からリピート購入が目立っているが、クチコミなどを拝見すると香りとテクスチャーの評価が高いという印象を受けている。
――プロモーション施策について伺います。
丸島 発売前の昨年6月から、お取引先店様の既存会員を中心に紹介活動を行っていただいたところ、8万本近い予約注文を獲得することができた。加えて、大規模な事前サンプリングやSNSの動画を活用した広告などを仕掛け、当社のユーザーではない層の取り込みを図ったところ、幸先の良いスタートが切れている。
ターゲットには、スキコンが顧客層とする20代後半から30代前半よりも少し上の年代で、エイジングケアに対する強いニーズを持たれている方を想定していたが、予測に反し幅広い年代層の方から好評を得ている。
スキコンと併せて購入してくださるお客様も多く、肌の状態に合わせて柔軟に使い分けていただいているようだ。
さらに、年齢による肌質変化とともにスキコンでは少し物足りなくなりエイジングケア化粧品に移行された一部の方々にも購入していただいているという話も耳にしている。
――今後の育成方針は。
丸島 発売初年度は、大きいサイズ(160mL)に加え、小さいサイズ(80 mL)の拡販に注力していく。初動では、既存のお客様が大きいサイズをご購入くださったケースが多くみられたため、今後は手軽にお試しいただける小さいサイズで新規のお客様にアプローチを図っていきたい。
長期的には、「フローラドリップ」の中身について、発酵技術の進化とともにあらゆる可能性を追求しパワーアップさせ続けていきたいと考えている。
これまで中身を変えないことにこだわり続けてきたスキコンとは対照的に、変わりながら時代とともにバージョンアップを続ける商品として育成していく。