資生堂、毛細血管が肌の弾力を生み出すメカニズムを解明

粧業日報 2020年6月11日号 1ページ

カンタンに言うと

  • ハリを内側から蘇らせる太く丈夫な毛細血管を育てるスキンケアの開発へ
資生堂、毛細血管が肌の弾力を生み出すメカニズムを解明
 資生堂は、毛細血管が肌の弾力を生み出すメカニズムを解明し、加齢や紫外線などのダメージで細く衰える毛細血管を太く丈夫な状態に保つためにニーム葉抽出液やドクダミ抽出液が有効であることを発見した。

 今後、この研究成果を活用し、毛細血管をケアすることでシワやたるみなど肌の弾力低下によって生じる肌悩みを防ぎ、ハリのある肌へ導くスキンケア製品の開発を進めていく。

 なお、同研究成果の一部は「国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)ミラノ中間大会2019」で口頭発表し、最優秀賞を受賞した。また、「北米血管生物医学会Vascular biology 2019」でも発表している。

 同社では、過去の研究で、毛細血管を良好な状態に維持することが肌の弾力に重要であることを明らかにしており、ハリを蘇らせるために、毛細血管を太く丈夫にするメカニズムの探索を続けてきた。

 今回の研究では、毛細血管中に存在する因子APJが周囲の弾力を感知して毛細血管の太さをコントロールする「弾力センサー」として働くことを発見した。

 様々な弾力の肌モデルを用いた実験において、適度な弾力の環境下ではAPJの発現が高まり、毛細血管が太くなることを確認した。一方、弾力が失われた環境下ではAPJの発現が減少し、毛細血管が細く不安定になることから、APJの発現量を実験的に高めたところ、弾力のない環境下でも太い毛細血管を導くことに成功した。

 研究では、弾力を感知して太い毛細血管へ導くAPJの下流で、血管内皮細胞同士の接着を良好にし、血管を丈夫にする「VE-カドヘリン」が低下した毛細血管が細く衰えていくことを明らかにした。さらに、肌モデルを用いた実験では、毛細血管で「VE-カドヘリン」が低下すると、肌の弾力も低下することもわかった。つまり、太く丈夫な毛細血管を維持することは、肌の弾力を向上させ、ハリのある肌に導くことが考えられるという。

 加齢や紫外線などのダメージは、肌の弾力を低下させて弾力センサーであるAPJの発現を減少させ、さらにはVE-カドヘリンの機能低下も引き起こすことから、老化とともに毛細血管は細く衰えていく。

 同社は、今回の研究成果をもとに、毛細血管を強化する薬剤を探索した結果、ニーム葉抽出液にAPJ発現促進効果があること、ドクダミ抽出液にVE-カドヘリン産生促進効果があることを確認した。

 これら薬剤の作用は、太く丈夫な毛細血管を育成し、内側からハリを蘇らせる効果が期待できるという。
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