成分中⼼PRの成功事例:HomeFacialPro

週刊粧業 2020年6月1日号 5ページ

成分中⼼PRの成功事例:HomeFacialPro
 近年、肌に合うタイプの化粧品を求めるニーズが⾼まっている。中国社会科学⽂献出版社が発刊した「⼥性⽣活ブルーブック」(2016)で⾏ったアンケートによると、アンケートに回答した中国⼥性の約80%が肌のタイプに合わない化粧品を使⽤した経験があると答えた。

 ⼥性消費者が肌質に合った化粧品を選ぶために最も気にするのは「成分」である。

 200万個以上に及ぶ化粧品の成分情報を検索できる「美丽修⾏」が、サービス開始3年で会員数1000万⼈を突破したのも、中国⼥性の成分に関するニーズが⾼いことを裏付けている。

 2019年、中国エッセンス市場TOP100ブランド(MeasureChina集計)の中、使⽤成分を強調しなかったブランドは1社もなかった。もはや成分はスキンケア、とりわけエッセンス市場において基本的に求められる要素となっている。

 成分マーケティングの競争が激しさを増す中、2019年Tモール/タオバオのスキンケアエッセンス市場で8位にランクインした中国国内ブランド「HomeFacialPro」(以下、HFP)は、「商品名に成分名を明記」「商品ラインを組み合わせた使⽤法を積極PR」「活⽤法に合わせたセット商品を販売」という3つのポイントに注⼒し、売上につなげた。

 つまり、これら3つのポイントのシナジー効果こそが2019年HFPの主な成功要素といえるだろう。

●成分名が商品名

 HFPの商品は商品名に使⽤成分を直感的に表している。

 HFPは Estee Lauder の Advanced Night Repair、LancomeのGenifique、L’OrealのYouth Code、SK₋Ⅱ のPITERA Essenceのように独⾃のラインを持っていない。

 その代わり、「オリゴペプチド エッセンス(寡肽原液精华)」「ニコチンアミド エッセンス(烟酰胺原液精华)」「アスタキサンチン エッセンス(虾⻘素原液精华)」等、直感的な商品名を使⽤している。

 消費者は商品のパッケージや容器のラベルを確認するだけで商品の特徴や主な成分が把握できるというメリットがある。 



●成分を活⽤したマーケティング

 HFPと他のブランドとの違いは各商品を組み合わせた使⽤法を主なマーケティングポイントとしているところである。

 HFPは9つのエッセンス商品をもとに、求める効果によって必要な商品と成分の組み合わせ⽅法を消費者に提案するPR活動を⾏った。

 まずはじめに美⽩とアンチエイジング効果を求める人にはニコチンアミド・エッセンスとスクアレン・エッセンスを、次に肌の鎮静やニキビケアが必要な人にはオリゴペプチド・エッセンスとカルノシン・エッセンスを、最後に⽔分補給が必要な人にはヒアルロン酸・エッセンスとニコチンアミド・エンセンスを勧めている。



●セット商品の販売

 積極的なPR活動によって消費者の間でエッセンスを組み合わせて使⽤するニーズが⾼まると、HFPはPR活動でおすすめした商品をセット構成で販売した。

 肌の鎮静やニキビケアに特化したオリゴペプチド+ラクトビオン酸エッセンス2種セットや、ニキビケアおよび⽑⽳縮⼩の4種セット、エッセンス全9種セット等を発売した。

 これらのセット商品は消費者がSNSなどで接した組み合わせを⼿軽に試せるように構成されている。 



 HFPがセットを中⼼にした商品構成に変えると、エッセンス商品(単品+セット)のうち、セットが占める割合は2019年年初の30%から2019年5⽉には50%を突破、2019年10⽉には70%にまで及び、売上増加に寄与している。



 HFPの成功の秘訣は、「商品の特徴を直感的に消費者へ伝達」「積極的な活⽤法の共有」「PR活動でお勧めした商品をセット構成で発売」し、気軽に試せるよう⼯夫したところにある。

 HFPの成功事例は成分に関する消費者の関⼼が⾼くなったことを意味し、消費者のニーズが成分の理解を超えて活⽤の段階にまで発展しつつあることを⽰唆している。

【メジャーチャイナ】(記事提供元)
中国EC・SNSのビッグデータを収集し、ビジネスインサイトを提供するデータ分析会社。中国で取引される6800万個のコスメ商品の売り上げ/価格/効能/原料等を属性別にトレンド分析したデータ、レポートを提供。Unilever,AMOREPACIFIC,LG生活健康, Johnson&Johnson等のグローバルブランド、証券アナリスト等が本社のサービスを利用中。
URL: https://www.measurechina.ai/ja/ E-mail: contact@measurechina.ai
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