一丸ファルコス、新たなシミ形成要因の解明進む

C&T 2020年3月16日号 48ページ

一丸ファルコス、新たなシミ形成要因の解明進む
 化粧品・医薬部外品の原料開発メーカーである一丸ファルコスは、シミや光老化に関する研究を通じ、それぞれの発生メカニズムに着目して美白/UVケア原料の開発に活かしている。

 近年は新たに開発した美白/UVケア原料が、海外の化粧品展示会で高い評価を獲得しており、日本国内のみならず、美白ニーズの高い中国や東南アジアなどで採用実績を積み上げている。

 2017年に販売を開始した「IZAYOI〈イザヨイバラエキス〉」はその中でも代表的なUVケア原料の1つで、同年に中国で開催された化粧品原料展示会「PCHi 2017」にて、「IZAYOI」に見出した「新しいUVケア理論」を発表し、機能性原料賞(美白・UVケア部門賞)と開発者賞の2部門を受賞した。

 「IZAYOI」に見出したUVケア理論は、同社の長年にわたる光老化研究によって見出された。

 同社は、同一被験者によるUVケア効果の検証を行ってきた中で、被験者の肌が加齢とともに紫外線による紅斑が出やすくなる(紫外線に肌が敏感になる)ことを突き止めた。

 その原因について研究を進め、加齢細胞では紫外線ダメージを受けやすくなり、その結果、日やけメカニズムの最上流に位置する「DAMPs(Damage associated molecular patterns、傷害関連分子パターン)が炎症を引き起こしていることを明らかにした。

 DAMPsは、組織傷害などで細胞が壊れて死んだ際に細胞内部より放出され、周囲の組織に炎症を引き起こす自己由来の起炎性因子。「IZAYOI」は、そのDAMPsによる炎症関連遺伝子の発現を抑制する効果が認められた(表)



 「IZAYOI」は、肌に日やけを引き起こす前段階となるDAMPs放出を抑制することにより、日やけしにくい肌をつくりだし、紫外線による肌の老化を初期段階で防ぐ。

 また、DAMPs放出を抑制することは、肌の紅斑を抑制することが可能となり、「IZAYOI」は、日やけによるほてりやヒリつきなどを抑える効果が期待できる。

 さらに、このほどインドでの皮膚科医によるヒトモニター試験において、IZAYOI2%配合ローションの連用塗布により、肌の「明るさ」及び「滑らかさ」の向上、「色素沈着の改善」「目じりのシワ減少」が認められたほか、日照後の日やけ感(ほてり)の減少も確認された(表)

 また、同社は大学などの研究機関と共同で原料の研究開発も行っている。静岡県立大学との共同研究では、新たなシミ形成経路を発見し、同社開発原料である「ファルコレックス メリッサB」にその新経路によるシミ形成を防ぐ効果を見出している。

 共同研究では、紫外線などのストレスを受けた肌では、表皮細胞から放出された「POMC(プロオピオメラノコルチン)」というタンパク質が細胞外で代謝されて、新しいメラニン産生誘導因子として機能していることを新たに発見した。

 これまでPOMCは、紫外線などのストレスを受けると、細胞内でACTHやα-MSHに代謝されるか、細胞外へ分泌され、そのままの形で炎症メディエーターとして機能していると考えられていた。

 共同研究ではPOMCが、細胞外でメラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)よりもさらに短い機能性ペプチド鎖 α-MSH (1-8)<Short-MSH>となり、シミ形成を促すことを明らかにした。



 「ファルコレックス メリッサB」のShort-MSH産生抑制試験では、Short-MSHの産生を40%以上抑制することが認められた。ヒトモニター評価試験では、1%ファルコレックス メリッサB配合ローションの連用塗布によりメラニンインデックス(肌黒色度)を低下させることが確認された(表)

 以上から、「ファルコレックス メリッサB」は、従来の経路とは異なるメラニン生成経路でシミの改善や美白効果の付与が期待できる。

 さらに同社は、UVケア研究の領域を広げ、紫外線とは異なる波長の肌への影響や、排ガスや工場の排煙、タバコの煙などの外的要因「環境ストレス」と肌との関係についての研究を進めている。

 昨今は、パソコンやスマートフォンなどの普及にともない、生体への影響が注目されているLEDライトの青色光(ブルーライト、波長380nm~495nm)の肌への影響について世界的に研究が進められている。

 これまで研究報告では、ブルーライト照射により線維芽細胞の酸化ストレス耐性低下や増殖抑制(活性低下)が生じることがわかっている。

 同社は既存の開発原料の中からブルーライトケアの検討を進め、「キュアベリー〈ビルベリー葉エキス〉」に、ブルーライトからの線維芽細胞保護作用を確認した。

 そのほか、「キュアベリー」にはストレス(ホルモン)によるメラニン生成抑制作用やヒアルロン酸産生促進、シワ改善作用といった美白、エイジングケア作用も認められている。
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