花王、複合高機能樹脂「ルナフレックス」の提供を開始

粧業日報 2020年6月29日号 2ページ

2020年6月5日 13時15分

Ssn20200605 1

 花王は、バイオマス由来のセルロースナノファイバー(Cellulose Nanofiber、以下CNF)を改質し、各種用途の樹脂に配合することで、少量でも樹脂の強度や、寸法安定性(熱膨張率の低減)を向上させることを可能にした。

 この改質CNF配合高機能樹脂を、ユーザーの目的や用途にあわせてカスタマイズした「LUNAFLEX(ルナフレックス)」シリーズとして提供を始める。

 改質CNF配合による物性の向上が、樹脂使用量の削減と小型化・軽量化(資源の効率的利用)に大きく寄与できるものと考え、社会のサステナビリティに貢献していく。

 CNFは、樹木等の植物中でセルロース分子の束を形成しており、高強度・高弾性などさまざまな機能を有するサステナブルな高機能素材として世界中でその有効活用が望まれている。また、CNFを樹脂に配合すると、樹脂の強度や靱性、寸法安定性の向上効果があることがすでに知られている。

 しかし、CNFは分子間・分子内で強固に水素結合をしているため、ナノファイバーとして単離することは非常に難しい課題だった。さらには、単離した後もその表面は水酸基で覆われていて強い親水性を示すため、油性溶媒にはなじみが悪く、分散安定化は非常に困難だった。

 また、従来はCNFメーカーが調製したCNF製剤(疎水改質CNFやCNF分散溶媒)を、ユーザーである樹脂メーカーに提供していた。しかし、樹脂への配合の際にCNFが凝集してしまうなどの不具合が生じてしまうことが多く、樹脂中への均一ナノ分散には種々のノウハウが必要ということもわかってきた。

 花王は、セルロース研究の第一人者である東京大学磯貝明教授らによるCNF単離の成功をきっかけに、これまで自社で独自に積み上げた界面制御技術に基づき、CNFの表面にさまざまな官能基を付加することで発現する機能を探索してきた。

 その結果、親水性のCNF表面を疎水表面へと改質することが可能となり、CNFを樹脂へ均一ナノ分散することに成功した。

 この界面制御に寄与しているテクノロジーが、量子化学計算による構造予測に基づいた「デュアルグラフトシステム」と呼ばれるCNF表面設計技術で、濡れ性と立体反発の観点で選定した2種類の修飾基をCNFの表面に結合させる方法により、少ない修飾基重量で疎水表面へと改質し、CNF本来の物性の発現を可能とする。

 さらに、用いる樹脂に合わせて、濡れ性と立体反発の観点から適切な修飾基をカスタマイズすることで、樹脂となじみやすくする。

 こうして、さまざまな樹脂に対してCNFを均一ナノ分散することによって、CNFの性能を最大限に引き出すことができる高機能複合樹脂を得ることができ、樹脂メーカーに提供することが可能になった。

 さらに、単に樹脂メーカーへの複合化原料の提供にとどまらず、樹脂メーカーが抱いている課題を解決する課題解決型の改質CNF配合樹脂を「ルナフレックス」シリーズと称して提供する取り組みを始めた。

 改質CNFを配合した製品は、樹脂に均一に分散して非常に透明度が高く、様々な用途での活用が期待される。

 また、樹脂補強材であるシリカ(汎用フィラー)を配合した製品と比較し、極少量の配合での寸法安定性改善効果が確認された。強度(弾性率)もCNFを添加するほど向上し、最大で10倍にも向上した。

 さらに、改質CNFを1%配合した製品は未配合のブランク品と比較し、寸法安定性が31%も改善された。また、靭性はCNFを添加するほど向上し、破壊仕事は最大で20倍にも向上。熱可塑性樹脂であるフェノキシ樹脂に改質CNFを5%配合した際の寸法安定性は70%も改善し、強度(弾性率)は2倍に向上した。

 今後も、さまざまな樹脂や使用場面において同社CNFが有効活用されるべく、新たな製品、性能の提案を行っていく。

 花王グループは、経営にESGの視点を導入することで、花王らしいESG活動をグローバルに展開し、社会のサステナビリティへの貢献に取り組んでいく。

 ケミカル事業では、エコケミカルな視点をモットーに、革新的な製品やソリューションを提供することによって、ユーザーや産業界の課題解決に努めていく。

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