天然植物を素材に化粧品原料の研究開発を行う一丸ファルコスは、肌の老化メカニズムを解明しながら、抗老化への新たなアプローチ方法を見出している。
近年は、グローバルニーズへの対応策として、日本国内で採用実績が増えている機能性原料の紹介のほか、海外の国・地域ごとにマーケティングを進め、エリア専用の機能性原料の開発・販売も行っている。
今年3月には、中国INCI対応のコメ由来植物性乳酸菌「ラ・フローラ K-1」(表示名称:乳酸桿菌)を発売した。
同社は、既に化粧品向け乳酸菌原料の開発に成功しており、17年春より「ラ・フローラ EC-12」を販売。敏感肌や肌トラブルケアを目的とした化粧品などに多く採用されている。
今回、中国でも使用可能な乳酸菌原料を追加発売し、「ラ・フローラ」シリーズを海外にも広めていく。
乳酸菌は、腸内環境を整える成分として食品分野で高い人気を誇る。近年の研究で、乳酸菌は健康だけでなく、様々な美容効果が期待できることも明らかになってきている。
ヒトの皮膚には1兆匹以上の皮膚常在菌が生息し、その多種多様な菌からなる皮膚常在菌叢(肌フローラ)には、「肌の善玉菌」と呼ばれる表皮ブドウ球菌などのCNS菌群が存在している。
肌の善玉菌は、酸性物質やグリセリンを産生して、美肌を維持・向上させるが、加齢とともに減少してしまう。
同社の研究では、40代になると肌善玉菌数は20代に比べて約1/10に減少しており、肌の善玉菌の減少を抑えることで肌の老化を遅らせることができる。
「ラ・フローラ K-1」は、国産米から発見された乳酸菌「Lactobacillus casei subsp. casei K-1〈ラクトバチルス K-1〉」の不溶性菌末で、1gあたり1兆匹以上の乳酸菌を含有する。
加熱処理を施した乳酸菌素材のため常温での保存が可能で、生菌に比べ品質の安定性や耐熱性にすぐれているため、菌による製造ラインの汚染の心配もない。
評価試験では、表皮ブドウ球菌およびCNSを増加させる効果が確認された。
培養表皮細胞を使用した試験では、皮膚を護る抗菌ペプチドや皮膚状態の改善につながる角化関連因子の増加を促す効果も認められた。
ヒトモニター試験では、4週間の連用塗布により肌水分量向上(保湿)作用や肌pHを低下(調整)し、肌の乾燥や悪玉菌の繁殖を抑制する効果などが確認された。
以上から、ラ・フローラ K-1は、敏感肌やニキビ・肌あれの改善が期待できる。
「スプリングミント」(表示名称:セイヨウハッカエキス)は、肌の初期老化に見られる「菲薄化(肌痩せ)」に着目した機能性原料。真皮菲薄化の改善により、ハリ・弾力のある肌へと導く。
肌は、真皮にあるコラーゲンなどのマトリックスの分解により、シワやたるみ、ハリの低下といった老化症状が現れはじめる。そのマトリックスが分解された真皮は加齢とともに、薄くなり、肌も痩せ細って見えてしまい、老けて見えてしまう。
このような肌痩せ状態のことを「菲薄化」と言い、菲薄化の原因は、表皮細胞が出す細胞外ATPが影響していることが最近の研究で分かっている。
「スプリングミント」は、肌老化の超初期因子である細胞外ATPを抑制し、真皮の菲薄化に対し、実感性のある改善が期待できる。