ロート製薬は、グリコーゲンとテトラペプチド-5(独自開発したペプチド)を組み合わせた成分に、脂肪組織由来間葉系幹細胞のエクソソーム量を増加させ、老化した皮膚線維芽細胞へのエクソソーム取り込みを促進する効果があることを見出した。
今後、エクソソームの機能解析やその活用に向けた技術開発を行い、新しいエイジングケアの実現につなげていく。
エクソームとは、細胞から分泌される約50–150nm程度の細胞外小胞で、細胞間における情報伝達に重要な役割を担うことが明らかとなっている。あらゆる細胞から分泌されることが認められているが、その性質はエクソソームを分泌する細胞種によって異なることが確認されており、再生医療の分野では幹細胞由来のエクソソームの活用が着目されている。
再生医療分野における幹細胞治療では、その効果の一部を「エクソソーム」が担っていることが報告されている。脂肪組織由来間葉系幹細胞(以下、AdMSC)を用いた幹細胞治療においては細胞増殖促進や創傷治癒効果等の作用が認められているが、これらの効果もエクソソームによるものであることが最近の研究で明らかとなってきた。
そこで今回の研究では、AdMSCより分泌されるエクソソームの量を増やすことで、老化した線維芽細胞内へのエクソソーム取り込みを増進させることを目指した。
まず、成分(グリコーゲン+テトラペプチド‐5)を添加していない群と、成分を添加した群のAdMSCより分泌されたエクソソームを抽出し、溶液中に存在するエクソソームの粒子濃度を割合として算出した。
その結果、「グリコーゲンとテトラペプチド-5」の成分の組み合わせがAdMSCのエクソソーム分泌を促進させることを見出した。
次に、AdMSCより分泌されたエクソソームを染色し、若い線維芽細胞や、老化した線維芽細胞に添加。添加後48hの各種細胞内エクソソーム取り込み量の割合を細胞内の蛍光量を測定することで算出した。
AdMSCより分泌されたエクソソームの線維芽細胞内取り込みを若い線維芽細胞と老化した線維芽細胞で比較したところ、老化した線維芽細胞ではエクソソームを取り込む力が低下していることが明らかとなった。
最後に、AdMSCより分泌されたエクソソームを染色し、老化した線維芽細胞に添加。添加後48hの各種細胞内エクソソーム取り込み量の割合を細胞内の蛍光量を測定することで算出した。
その結果、AdMSCによるエクソソーム分泌が増えたことによって細胞周辺のエクソソーム量が増加し、老化した線維芽細胞においても、エクソソームの取り込み量が若い線維芽細胞の水準まで回復することが明らかとなった。
今回の研究成果により、グリコーゲンとテトラペプチド-5の組み合わせがAdMSCより分泌されるエクソソーム量を増加させ、老化した線維芽細胞へのエクソソーム取り込みを促進させることが明らかとなった。
AdMSCより分泌されるエクソソームは様々な効果を有することが明らかとなっているため、その効果を活用した製品開発が期待される。