日本コルマー、独自の分散システムで持続的成長を実現

週刊粧業 2020年8月24日号 6ページ

日本コルマー、独自の分散システムで持続的成長を実現
 化粧品・医薬部外品OEM/ODMの国内最大手である日本コルマーは、国内5研究所・7工場体制であらゆる化粧品の企画・設計から開発、製造まですべて自社で行うODM事業の強化を進めて持続的な成長を実現している。

 同社は、リスクヘッジを目的とした独自の分散経営システムを構築し、不況に強い経営体質を確立。リーマンショック(08年)や東日本大震災(11年)も乗り越え、連続増収を達成してきた。

 2020年3月期売上高は、インバウンド需要の減速があったものの、日本コルマー単体で前期比3.3%増の470億円で16期連続増収を達成した。

 連結では507億円だった。4月からスタートした21年3月期は、同社もコロナ禍で厳しい局面を迎えているが、神崎友次会長は、百貨店などリアル店舗の化粧品販売が苦戦する一方、通販・ECが好調に推移していることに触れながら、「通期単体で前期比2%の増収を目指す」と話す。

 同社の安定した経営基盤を支える分散化システムは多岐に渡る。

 生産工場は、国内7拠点に分散化することで、自然災害時にも安定的に供給できる体制を整えた。

 研究所も含めた事業所の多拠点化は、少子高齢化にともない労働人口が減少していく中で、人材確保の面でも機能している。

 また、同社はクライアント1社あたりの売上構成比をコントロールし、クライアントの業績に左右されない経営基盤を構築した。OEM/ODM製品の販売チャネルの分散化にも意識的に取り組んでいるという。

 神崎友次会長は、分散経営のメリットについて「経営の安定化に加え、情報収集の面でも役立っている」と述べ、ODM事業の推進に「情報収集力」の重要性を語った。

 その神崎会長は以前から、業界紙などを通じてオープンイノベーションの考え方を啓蒙してきた第一人者だ。

 「化粧品業界の発展とともに私たち化粧品OEM/ODM業界も着実に成長し、既に当社を含めた複数の同業者が、大手のブランドメーカーと同等かそれ以上の品質を担保できる体制にあると見ている。コロナ禍の業績不振により、オープンイノベーションの動きはさらに活発化するだろう」

 同社は、情報力を活かした「研究開発力」を重要な差別化戦略に位置づけ、中長期的に研究員数を現在の170名から200名体制に拡大する計画だ。

 また、成長領域への分散投資として進めるベトナム工場は今期中の稼働を予定している。

 稼働後、まずは東南アジア市場に進出する日系企業や欧米のグローバル企業を対象に市場開拓を進め、2つの生産工場を構える中国市場と同様、将来的にはローカルメーカーとの取引拡大を目指すという。
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