ロート製薬、界面活性剤を使わない美肌クレンジング技術を開発

訪販ジャーナル 2020年9月7日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 特定の水溶性保湿剤と油溶性保湿剤の組み合わせにより、良好なメーク落ちを実現
ロート製薬、界面活性剤を使わない美肌クレンジング技術を開発
 ロート製薬は、肌の健康を考えたスキンケアの研究を進め、このほど、環境面へ配慮しサスティナブルな社会の実現を目指したスキンケア技術として、界面活性剤を使わないクレンジング剤の製剤技術開発に成功した。

 同技術(特許出願済)は一般的なクレンジング技術と同等のメーク落ちを実現するとともに、肌へ保湿効果を付与することを確認した。今後、クレンジング製品をはじめとするスキンケア製品などに応用していく。

 一般的なクレンジング技術で用いる一部の界面活性剤は、うるおいを奪い乾燥の原因になる可能性があることが知られており、クレンジング剤に配合されている一部の界面活性剤は洗い流すことで、水環境に影響を与える可能性がある。

 そこで今回、環境を考慮すると同時に、肌に優しく保湿効果も高いクレンジング剤を日々使い続けることで、将来の肌の美しさにつながる製剤を開発したいと考え、界面活性剤を用いないクレンジング剤の製剤技術開発に取り組むこととした。

 試験では、前腕内側部を水で洗浄し室温環境下で恒温化した後、水分量をSKICONで計測し、各製剤を一定量塗布して、温水で洗い流した一定時間後に再度水分量を測定した。また、ヒト表皮モデル細胞にPBSと製剤を適用し、細胞生存率を比較した。

 その結果、数種の水溶性保湿剤と油溶性保湿剤をバランス良く組み合わせることにより、界面活性剤を使用せずに良好な製剤安定性とメーク落ちを実現できることを確認した。また、一般的なクレンジング技術に比べて使用後の肌水分量が有意に高くなることを確認した。

 さらに、ヒト表皮モデル細胞において、一般的な界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を投与した場合、細胞生存率は50%未満と低い値を示す一方、同技術を投与した場合の細胞生存率はコントロールと比較してほぼ同等であることを確認できたことから、細胞へのダメージを考慮しながら、肌への保湿効果を付与できる技術であることを確認した。

 一般的なクレンジング技術は、クレンジング剤中のオイル成分がメークとなじむと同時に界面活性剤がメークを絡めとり、水で洗い流すことでメークを落とすことが知られている。その際、一部の界面活性剤が肌に必要な皮脂も絡めとる可能性があり、クレンジングによる乾燥や肌荒れを引き起こす場合がある。

 一方、美肌クレンジング技術は、美容オイル成分がメークとなじんで浮かせ、水で洗い流してメークを落とすと考えられる。肌のバリアは壊さず、なおかつ洗い流し後は美容液成分が肌を保湿するため、洗うたびにうるおう技術になっていると考えられる。

 今回の研究成果により、一般的なクレンジング技術で用いる界面活性剤を用いることなく、従来品と同等以上のメーク落ち機能を持つと同時に、肌細胞へのダメージを考慮しながら、肌への保湿効果を付与することが示唆された。

 今後も肌への優しさを考慮したスキンケア製品の開発を目指すとともに、サスティナブルな社会を実現するために環境へ配慮した観点からの研究開発を進めていく。
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