ヘアケア専門OEMの近代化学では、新型コロナウイルス感染症の影響により、主要取引先である美容室からの受注が減少したものの、通販を主軸とするクライアント企業から主力製品であるカラートリートメントの受注が伸長したことに加え、アルコール消毒液をはじめとした衛生用品も好調に推移し、今期(2020年8月期)の売上高が微増で着地する見通しだ。
今期の取り組みと来期の抱負について、岡部達彦社長に話を伺った。
――今期の取り組みを改めて振り返ると。
岡部 今回のコロナ禍による外出自粛の影響で美容業界が低迷し、1955年の創業当初から美容室向けの業務用製品を中心に手がけてきた当社として、今期は非常に厳しい見通しになると見込んでいた。
しかし、在宅時間の増加によってホームケア製品への需要が高まり、通販を主軸とするクライアント企業から主力のカラートリートメントの受注が大きく伸長した。
現時点でカラートリートメントの受注が年内まで続く見通しで、こうした状況が当面変わらなければ、来期も恐らく増収になるだろう。
今期は新たな取り組みとして、コロナ禍で近隣の病院や工場へアルコール消毒液を配布したところ、紹介の輪が広がって多くの企業との直販につながり、衛生用品の新規受注も増収を牽引する大きな要因となった。
また、子会社の有限会社JCOS(ジェイコス)で展開しているヘアケアブランド「海老名オーガニックファーム」に関して、海老名という地名がブランドに入っていると取扱販路が限定されてしまうことが課題となっていたため、全国で拡販するべく今年1月に「エブリネイチャーデイズ」へとブランド名を変更した。
これに伴い、オンラインショップへ遷移するランディングページを新たに作成し、サイトのデザイン性も高めた。
今後はインスタグラムやツイッター、フェイスブックなどのSNSを活用し、ブランドの主力商品である海老名産の苺を配合したシャンプー・トリートメント・ボディソープの拡販を推進していきたい。
――来期の抱負をお聞かせください。
岡部 コロナ対策で衛生用品へのニーズが高まっていることから、今後は抗菌効果の持続性がある衛生用品の開発に注力していく。
既に、アルコールベースで除菌効果が期待できる水の要らないシャンプーを開発した。アルコール濃度と自然由来指数はどちらも約50%で、指通りもなめらかで髪の仕上がりも良いため、今後の引き合いに期待したい。
衛生用品に関しては現在、新たに医薬部外品の承認申請を行っているほか、ジェルタイプ以外にミストタイプのアルコール消毒液を新たに開発しており、ラインナップを順次拡大していく。