花王とライオン、リサイクリエーション活動の協働を開始

粧業日報 2020年9月25日号 3ページ

花王とライオン、リサイクリエーション活動の協働を開始
 花王とライオンはこのほど、プラスチック包装容器資源循環型社会の実現に向けて、フィルム容器のリサイクルに協働して取り組むことを決定した。フィルム容器のリサイクルに企業の枠を超えて取り組んでいく。

 日本の日用品市場では、両社をはじめとする日用品メーカーが、1990年代から包装容器プラスチック使用量の削減を進めてきた。濃縮化による製品容器のコンパクト化、つめかえ・つけかえ用製品の開発・普及により、プラスチック使用量を大幅に削減。2018年のつめかえ・つけかえ用製品は、全製品出荷量の80%となっている。一方、つめかえ容器は、主に使われているフィルム素材が複合材料からなるため、リサイクル材が多種類の成分からなる不均質なプラスチックとなり、リサイクルが困難な状況だ。

 これまで花王では、「リサイクリエーション」を通じて、循環型社会への新しいシステム・ライフスタイルの提案を進めている。具体的な取り組みの1つとして、地域の人々から回収した洗剤やシャンプーなどの使用済みのフィルム容器を、「おかえりブロック」と名づけたブロックに再生加工し、地域の人々の暮らしに役立てられている。

 ライオンにおいても、循環型社会への貢献と、定期的なハブラシ交換を促すことで消費者の歯と口の健康維持へ貢献することを目的とする「ハブラシ・リサイクルプログラム」を通じて、消費者から使用済みハブラシを回収・リサイクルし、植木鉢などにリサイクルする取り組みを推進している。

 このように両社は、プラスチックの資源循環を目的に消費者と協力し、これまでゴミにしかならなかった使用済みのプラスチックを回収・リサイクルする実証実験を、消費者のプラスチックに対する意識の高まりを念頭に入れて進めている。

 しかしながら、フィルム容器やハブラシのリサイクルを、規模を拡大して継続していくためにはさまざまな課題があり、特につめかえ製品のフィルム容器は複合素材のため単一成分のみの分離が難しいうえ、メーカーによって使用しているプラスチック素材や設計が異なり、そのリサイクル素材をフィルム容器などの製品に再生する場合に多くの制約がある。

 そこで、花王とライオンは資源循環型社会の実現を目指し、フィルム容器のリサイクルに企業の枠を超えて取り組む。

 リサイクルを加速させるためには、回収の基盤となる仕組みの構築とリサイクル技術の開発が不可欠で、同時に製品使用後のプラスチック容器の分別など、消費者を含めたステークホルダーとともに社会の意識を変えていくことも必要だ。

 その具体策として、「消費者、行政、流通との連携によるフィルム容器の分別回収のしくみの検討」「幅広い製品への利用や消費者の分別回収のしやすさに配慮し、企業間・業界の垣根を越えて共通利用が可能なリサイクル材料・容器の設計」「共同で回収・再生したリサイクル材料の活用方法の検討」「リサイクルに対する消費者の理解・協力を深める普及促進・啓発活動」を進める。これらの活動を通じて、回収・リサイクル全体の経済性の改善に取り組んでいく。

 まずは、地域の人々と協力してフィルム容器の分別回収と啓発を行うリサイクリエーションの協働を開始し、フィルム容器リサイクルの技術的課題を共有化する。

 将来は、リサイクリエーション活動を継続しながら、フィルム容器から再度フィルム容器に再生する水平リサイクルを目指し、フィルム容器リサイクルの社会実装を進める。
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