優れた薬効と高い安全性で広く知られるヒノキチオールを全品に配合したスキンケアブランド「ヒノキ肌粧品」を展開するヒノキ新薬は、1956年の創業以来、これまで明確な論理性と科学性の裏付けのある商品づくりと販売姿勢を貫いてきた。
阿部武彦社長は、1976年に先代から経営のバトンを受け継ぎ、オイルショックやバブル崩壊など激動の時代を乗り越え、さらにコロナショックとも呼ばれる今回のコロナ禍でも経営の第一線で手腕を発揮している。
これまで40年以上にわたって化粧品業界の変遷を見つめてきた阿部社長に、化粧品メーカーが果たすべき役割や創業から守り続けている企業理念、そして今年5月に発売したヒノキチオール配合の室内用ウイルス・菌除菌スプレー「ヒノキハイブリッドミスト」(雑貨)と、泡状手指用ローション「ハイブリッドヴェール」(化粧品)の開発経緯や商品特長などを聞いた。
日本の化粧品が世界に立ち向かうためには
科学的でエビデンスのある商品づくりが肝要
――長年、化粧品業界に携わってこられたご自身の経験を踏まえ、今回のコロナ禍で化粧品メーカーが果たすべき役割や、今後進むべき方向性について忌憚のないご意見をお聞かせください。
阿部 ウイルスやワクチンといったような科学的な言葉が頻繁に使われるようになり、日常生活に浸透してきたことで、日本人は今まさにサイエンスに目が開かれている状況にあるといえる。
そう考えると、災い転じて福となすではないが、コロナ禍という災難を機に改めて科学的で論理的な視点を持った教育を日本の学校や企業で取り組んでいくべきではないだろうか。
戦後の日本は欧米に傾倒し、この業界においてもフランスやアメリカなどから多大な影響を受け、ファッション的なイメージを持った化粧品が今なお市場で数多く見受けられる。
当社ではこれまで、創業者であり父の阿部武夫が提唱した「販売とは学問なり」を原点とし、明確な論理性と科学性の裏付けのある商品づくりと販売姿勢のもと、優れた薬効と高い安全性で広く知られるヒノキチオールを全品に配合したスキンケアブランド「ヒノキ肌粧品」を展開し続けてきた。
メークアップやフレグランスといった化粧品はファッション的なイメージだが、スキンケアにそれがあてはまるかといえばそうではない。
いくら時代が変わろうが、人間の生理現象は変わらない。当社は初めからファッションとしての化粧品から一線を引き、スキンケアだけを展開してきた。
ヒノキ肌粧品は、感性といったイメージ訴求ではなく、BCI(美容指導職)がヒノキチオールの化学構造式まで覚えて論理的にエビデンスを説明しているように、アカデミックな部分を大事にしている。
日本が今後、世界の巨大な国々に立ち向かっていくためにはイメージ戦略ではなく、このような科学的でエビデンスのある商品づくりをメーカー各社で真摯に取り組み、日本人の器用さを活かした日本らしい独自の道を進んでいくべきだろう。