阪本薬品工業、100%植物系の化粧品用抗菌製剤が好調

C&T 2020年9月15日号 42ページ

カンタンに言うと

  • 保湿剤の分子レベルでの角層構造への影響で新知見
阪本薬品工業、100%植物系の化粧品用抗菌製剤が好調


 また、SYプランテックスKNPに配合しているチョウジエキスは、チョウジよりエタノール溶液で抽出して得られたエキスを精製したもので、抗菌主成分のオイゲニイン(Eugeniin)などのポリフェノール成分を多く含み、オイゲノール等の臭気成分と非水溶性成分を取り除いている。

 SYプランテックスKNPは幅広い菌に対して抗菌作用を持ち、0.5~1%配合することで化粧品に対して優れた抗菌効果を付与する。

 保存効力試験(チャレンジテスト)では、防腐剤で広く使用されるメチルパラベンと遜色のない数値が確認されている。

 また、フケ菌やアクネ菌に対する抗菌作用を示し、加えてリパーゼの酵素活性を阻害することから、フケやニキビの予防効果も期待できる(図2)

 原料の調達に関しては、全国8カ所の農家とSYプランテックスKNPの主成分であるカワラヨモギの栽培契約を締結しており、原料のトレーサビリティを確保し、安全・安心への取り組みに注力している。

 「以前は中国からカワラヨモギを輸入していたが、現在は国内で契約栽培を行い、高品質な原料を調達・確保するところまで当社が全て関わっている。カワラヨモギは種まきから収穫まで1年と長期間にわたり、その畑では他の作物を栽培できない。その間、大雨などの災害が時として起こり得るが、契約農家が安定した収入を確保できるよう最低買取補償制度を導入している。SDGsやサステナビリティの視点に立ち、今後もあらゆるステークホルダーから信頼される企業を目指していきたい」(同社)

 主力製品のグリセリンに関しては、名古屋産業科学研究所の八田一郎氏の協力のもと、大型放射光施設「Spring-8」のX線回析装置を用いてヒト皮膚角層を測定し、得られたX線散乱プロファイルに対して解析を行い、保湿剤(グリセリン・ジグリセリン)の分子レベルでの角層構造への影響に関する情報を得ることに成功した。

 角層中の水分の大部分が蓄えられている角層細胞では、角層の乾燥処理により角層細胞中のケラチンタンパクの構造が収縮し、水が失われることを確認した。

 さらに、細胞間脂質のラメラ構造への影響を詳細に解析したところ、細胞間脂質の構造は乾燥環境下において規則性を保つことで水を保持しようとするが、過度の乾燥においては構造が乱れることがわかった。

 その結果、グリセリンが角層細胞中の水を保持し、さらにジグリセリンが細胞間脂質の構造を安定化することを発見した。

 角層中のタンパクや脂質に対しての作用やその役割が明らかになったことで、従来よりも保湿効果の高い原料開発や、皮膚科学技術の確立が期待される。

 同社は今後もグリセリンの基礎研究をベースとした、ポリグリセリン脂肪酸エステル系の界面活性剤や油剤などの特長原料の機能に関する応用技術の開発を進めていく。
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