花王、乳幼児のアトピー性皮膚炎で皮脂RNA分子の変化を確認

粧業日報 2020年10月29日号 3ページ

花王、乳幼児のアトピー性皮膚炎で皮脂RNA分子の変化を確認


 バリア機能に関連する分子の中には、小児ADで特徴的に強く減少することが報告されている「脂質の合成/代謝に関連するRNA」も含まれており、この技術で乳幼児ADに特徴的な分子群の変化を捉えられている可能性が示された。

 続いて、視覚的に判別が難しい症状が軽い乳幼児AD患児を、皮脂RNAを用いて検出できる可能性が示されたことから、皮脂RNA情報だけを用いて健常とADの皮膚状態を判別できるかどうかの検証を行った。



 まず、ランダムフォレストと呼ばれる機械学習方法を用いて、AD患児を判別するのに重要なRNAを選抜した。その結果、現在すでにADの診断・病勢マーカーとして使われているTARCと呼ばれる分子が、その判別に最も重要であることが示された。

 そこで、皮脂RNA中のTARCの発現情報を用いて健常児、乳幼児AD患児の判別モデルを作成したところ、89%の精度(感度:75%、特異度:100%)で両者を判別できる可能性が示された。

 この方法を用いて、乳幼児の皮脂RNA抽出後の残渣からタンパク質を抽出し解析したところ、約800種ものタンパク質分子を検出することができた。

 その中には、RNAの解析では検出が難しかった分子も多く含まれていたことから、RNAと併せてタンパク質を解析することで、より深い生体機能の理解につながると考えられた。

 さらに、健常児と乳幼児AD患児の比較において、ADで変動することが報告されている分子の発現情報が皮脂タンパク質でも変化していることが確認され、皮脂タンパク質解析でも乳幼児ADの状態をモニタリングできる可能性があることが示された。

 今後は、国立成育医療研究センターと共同で、生後6カ月以下の乳児を対象に、皮脂RNA・皮脂タンパク質を用いた早期発症型ADの研究を進めていく。
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