花王、乳幼児のアトピー性皮膚炎で皮脂RNA分子の変化を確認

粧業日報 2020年10月29日号 3ページ

花王、乳幼児のアトピー性皮膚炎で皮脂RNA分子の変化を確認
 花王生物科学研究所は、乳幼児アトピー性皮膚炎(AD)患児から採取した皮脂RNAの解析により、乳幼児ADで特徴的に変化する分子が、皮脂RNAにおいても変化していることを確認した。

 また、ADの炎症反応を誘導する分子「TARC」の発現情報から、健常児とAD患児を判別できる可能性を見出した。さらに、あぶら取りフィルム1枚から、皮脂RNAに加えて、皮脂タンパク質を抽出し解析する技術を新たに構築した。

 今回の研究成果は、「第69回日本アレルギー学会学術大会」(9月17日~10月20日、オンライン開催)にて発表している。

 乳幼児ADの発症は、その後の食物アレルギー発症の強いリスク等につながることから、できるだけ早くADの症状を見つけ出し、適切な治療を行うことが必要だが、ADの診断は、乳幼児期に多発するさまざまな皮疹との見極めが難しく、医師によるAD診断までに長期間の皮膚状態の観察が必要になる場合もあるなど、医師や乳幼児、保護者に大きな負担が生じることが問題となっている。

 そこで花王は、2019年に報告した、肌を傷つけることなく、顔の皮脂から簡便に皮脂RNAを採取し、解析できる「皮脂RNAモニタリング技術」を用いて、乳幼児ADにおける皮膚の分子変化を捉えることができるか検証を行った。

 研究では、皮膚科医による問診・皮膚の診察により選ばれた健常乳幼児20名、軽症を中心とした乳幼児AD患児16名の顔から皮脂を採取し、皮脂RNAの解析を実施した。取得した3217種のRNA発現情報を比較したところ、健常群とAD群では、皮脂RNAの発現情報が異なる傾向が認められた。

 そこで健常群とAD群の間で異なる挙動を示すRNAの機能を解析した結果、AD群では炎症反応に関連するRNA群の発現が上昇し、バリア機能に重要なRNA群の発現が減少していることが確認された。
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