花王、「Fine Fiber Technology」をベースメークに応用

粧業日報 2020年11月16日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 肌の凹凸を覆ってなだらかに整え、高いシミカバー効果を発現
花王、「Fine Fiber Technology」をベースメークに応用
 花王は、直径がサブミクロンの極細繊維を肌に直接ふきつけることで、軽く、やわらかく、自然な積層型極薄膜を肌表面につくる技術「Fine Fiber Technology(ファインファイバーテクノロジー)」をベースメークに応用すると、肌の凹凸が覆われてなだらかになり、シミを自然に美しくカバーできることを見出した。

 今後は、この技術を活用することにより、理想とする仕上がりを叶えるベースメーク商品の提案に取り組んでいく。

 なお、今回の研究成果は、第71回コロイドおよび界面化学討論会(2020月9月14~16日、オンライン開催)で発表し、オンライン優秀講演賞を受賞したほか、第25回日本顔学会大会(2020年10月3~4日、オンライン開催)にて発表している。

 多くの女性にとって、メークアップで叶えたい肌は、シミや色ムラのない、なめらかな肌であることから、今回は、肌上に極細繊維が折り重なった極薄膜を形成する「ファインファイバーテクノロジー」における肌の質感や形状の違いを均一化させる機能に着目し、シミを美しくカバーする効果を検証した。



 研究では、まず凹凸のある疑似皮膚上にファインファイバーで極薄膜をつくり、その上からベースメーク化粧料を塗布した塗膜を電子顕微鏡で観察したところ、ベースメイク化粧料に含まれる粉体は、極細繊維が重なりあってできた立体構造のファインファイバー膜の隙間にムラなくみっちりと敷き詰められ、定着していた。

 このことから、ファインファイバー膜があると、少量のベースメーク化粧料でも高いカバー力を発揮できることがわかった。



 続いて、モデル皮膚上に赤く染色した極細繊維でファインファイバー膜をつくり、その上に緑に発光する粉体を含むベースメーク化粧料を塗布し、蛍光顕微鏡で観察したところ、この塗膜はファインファイバー膜の隙間に粉体を保持したまま、肌の皮溝や毛穴などの凹部に橋を架けるような状態で重なっていることが確認できた。



 このことから、ファインファイバー膜の上にベースメーク化粧料を塗布すると、塗膜はまるでハンモックのように肌にやわらかくフィットしながら粉体の肌凹部への落ち込みを抑制し、肌の凹凸を覆って、なめらかな仕上がりを実現することがわかった。



 さらに、「素肌」「ベースメーク化粧料のみ塗布」「ファインファイバー膜の上にベースメーク化粧料を塗布」の3パターンで、色の明るさとキメの目立ち度を解析したところ、ベースメーク化粧料のみの場合は、重ねることによってシミ部位と周辺部の色の差は目立たなくなるが、シミ部位の皮溝にベースメーク化粧料がたまったり、皮丘との付着量の差が大きくなるため、キメは素肌よりも目立つ結果となった。

 一方で、ファインファイバー膜にベースメーク化粧料を重ねた塗膜は、色の差がなく、キメも目立たないことが確認された。

 これは、ファインファイバー膜がベースメーク化粧料の粉体を均一に保持することに加えて、肌の凹凸を覆って、シミ部位と周辺部との色や皮溝形状の違いをカバーできたためだという。
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