日本コルマー、スピード対応と製品差別化の両輪で開発を推進

C&T 2020年12月15日号 50ページ

カンタンに言うと

  • 評価データなどで「シワ改善」の可能性を広げる
日本コルマー、スピード対応と製品差別化の両輪で開発を推進
 化粧品・医薬部外品OEM/ODMの国内最大手である日本コルマーは、国内5拠点・海外2拠点の7研究所体制で、新規原料開発や安全性・有用性評価試験などの基礎研究から処方開発を行っている。

 研究員170名体制の日本国内では、企画立案の段階から顧客をサポートするODM力の向上を掲げ、研究開発本部内のマーケティング部や基礎研究部門、処方開発各部門との連携強化を図り、製品開発に取り組んでいる。

 研究開発本部の藪内崇・統括マネジャー(スキンケア担当)は、「処方開発チームだけではなく、国内外の市場調査を行っているマーケティング部とも共同でプロジェクトチームをつくり、消費者のニーズ調査から製品の開発に取り組んでいる」と話す。

 2017年を皮切りに大手メーカーを中心に参入ブランドが増えている「シワ改善薬用化粧品」カテゴリーについても、早期よりシワ改善有効成分「ナイアシンアミド」を配合した医薬部外品のODM体制を整えた。19年夏期より本格的に提案を開始している。

 同社は、顧客の要望に合わせて対応しながら、並行して自社独自の開発を進めている。リッチな使用感のクリーム剤型から伸びの良い乳液、化粧水など剤型のバリエーションを広げるとともに、ナイアシンアミドと他の有効成分を組み合わせた処方開発も進めている。

 「市場形成期は参入までのスピード勝負となるが、成熟期に向かうとともに差別化競争に入る。かつての美白薬用化粧品市場の成り立ちがそうだった。シワ改善市場も同様の流れで市場が拡大していくことを想定し、スピード感を持った開発と差別化を重視した開発の両輪で取り組んでいる」(藪内氏)

 開発は、「肌への浸透性」「効果実感の視覚化」「長期的な効果実感」の3つを重点ポイントに、すぐに承認申請できる状態の開発処方を複数ラインナップすることで、スピード対応している。

 美白市場は、「抗炎症の有効成分との組み合わせや、2つの美白成分を使用した『W美白』訴求といった機能性付与の流れで大きく成長してきた経緯がある」(藪内氏)。

 シワ改善市場においても、新市場として形成されてから3年目を迎えた2020年は、「顧客からの要望も、ブランドコンセプトに沿うものなどこだわりが強まってきた感じがする。市場ステージが徐々に変わりはじめている」と話し、競争優位性を生み出す開発に軸足を移している。

 基礎研究を行っているスキンリサーチセンターの西浦英樹統括マネジャー(基礎研究・マーケティング担当)は、「医薬部外品は、承認が得られれば有効成分(主剤)の効果を謳える一方で、同じ主剤を配合した製品との差別化が図りにくいという声もある。しかし、有用性試験を行う立場からすると、評価試験の見せ方など工夫次第で製品のバリエーションを広げることができ、個人的には無限大の可能性を秘めていると思っている。開発されたシワ改善処方に、様々な効果を見出して肉づけしていきたい」と語った。

 また、同社はグローバル取引の増加にともない、20年6月より国内で海外市場専門の製品開発チームを立ち上げ、海外企業の依頼に対応している。

 これまで営業本部内の外国部や海外研究所(中国・蘇州)と連携しながら海外向け製品の開発に取り組んできたが、業務を専門化することで開発スピードと成功確度の向上につなげ、グローバル戦略をさらに推進していく。
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