化粧品の原料開発やOEM、製品のBtoC向け展開までをグループで手掛けるホルスは、プラセンタを主軸に、「発酵熟成プラセンタ」や「羊膜エキス」など「世界初」を謳える原料開発に注力している。
同社の研究姿勢や新原料について、三井幸雄社長に話を伺った。
――原料の開発方針について教えて下さい。
三井 私は20年以上製薬会社に勤め医療用の薬品を中心に扱っていたが、30年前に化粧品原料メーカーとしてホルスを創業した。そして、取得している薬剤師の国家資格と医学博士の知見を活かした、化粧品の原料開発に取り組んだ。
基本方針には、「既存品より良いものを作る」ことを掲げ、「世界初」を謳える原料を中心に開発している。中でも、馬や豚の胎盤に着目し、主軸のプラセンタに加え多様な原料を上市している。
14年には、世界初の「発酵熟成プラセンタ」の開発に成功した。プラセンタエキスを酵母・黒糖で発酵させた後に熟成した原料で、発酵熟成によりビタミンやミネラル・アミノ酸などの有用成分の増加を実現した。
このため、従来のプラセンタが持つ美肌効果や抗疲労効果、吸収率がさらに高まった。特許も取得しており、現在多くの製品へ採用されている。
また20年には発酵熟成技術を「コラーゲン」に応用した「発酵熟成コラーゲン」を化粧品・健康食品原料として展開した。
豚・魚由来のコラーゲンペプチドを酵母とパイナップル果汁で発酵・熟成させた同原料は、天然素材の力でコラーゲンを低分子化し、肌への浸透性を向上させている。さらに、保湿効果やハリ・ツヤのアップなど様々な有用性が示されている。
――この他にも、胎盤に着目した多くの原料を開発されています。
三井 17年には、化粧品原料と健康食品原料それぞれで、世界初の「羊膜エキス」を展開した。
「羊膜」とは、胎児と羊水を包み保護している無血管性の薄い膜で、サイトカイン(細胞増殖因子)を豊富に含有しているため、医療分野では以前から皮膚や角膜・創傷の治療用途で活用されている。
当社の「羊膜エキス」は、馬由来の胎盤から羊膜を分離・凍結し、常温下で融解した後、酸素分解によってエキスを抽出している。この配合により、ターンオーバーの正常化やコラーゲンの産生促進、エイジングケア作用が期待できる。
さらに今春、新原料として臍帯胎盤血由来の「ヒト幹細胞培養液」を上市する予定だ。
――この他の新原料は。
三井 昨夏に上市した「湯河原温泉水」は、ミネラルに加え、保湿や抗酸化作用を持つ成分を豊富に含み、「きりきず」「皮膚乾燥症」などへの温泉特有の効果が期待できる。
加えて、化粧品基剤として配合すれば全成分表示に「水表記」が不要なため、商品イメージの向上にも寄与できる。
また、天然のビタミンKを含有する医薬部外品原料「KコンプレックスP」は、化粧品原料「Kコンプレックス」をベースに開発した。
茶の実から得られる「チャ種子油」をはじめ、ビタミンKを高配合した植物油で、血流の滞りを解消し目元のクマやたるみに効果を発揮する。
さらに、国産「チャ種子油」100%配合の「狭山茶シードオイル」も提案している。赤ら顔や目元ケアに有用な同原料は、「茶のイメージ」や「狭山茶」を打ち出した商品展開に適している。
このほか、シアル酸を含有し、抗ウイルス・抗アレルギー作用が期待できる「ツバメの巣エキス」や、発毛を促す医薬品「ミノキシジル」と近似した化粧品原料「ピディオキシジル」を揃えている。
今後も、「世界初」の原料など、新規性があり高品質な原料開発に注力し、化粧品や健康食品を販売するお客様の売上に貢献していきたい。