花王、日本化学会第69回「化学技術賞」を受賞

粧業日報 2021年3月26日号 5ページ

花王、日本化学会第69回「化学技術賞」を受賞
 花王は、「マイクロ化学に基づく動的界面制御による革新的微細乳化技術と実用化」に関し、公益社団法人日本化学会第69回(2020年度)「化学技術賞」を受賞した。

 日本の化学工業の技術に関して特に顕著な業績が表彰されるもので、通算3度目の受賞となる。

 同社では、化粧品の機能を向上させるために、機能性成分を含む油を水中に微細な粒子として乳化させる技術開発に取り組んできた。

 微細な乳化物をつくるためには、多量の界面活性剤、あるいは大量のエネルギーを用いる必要があり、環境に負荷をかけずに微細な乳化物を効率よく生産することは困難だった。

 今回受賞した技術は、独自開発したマイクロ化学プロセスを用いることで、機能性成分を含む油と水の高速混合を可能にし微細乳化を実現するほか、少ない界面活性剤かつ従来の10分の1のエネルギー量で環境に負荷をかけず、高い機能性を実現する。また、粘度の低い化粧水などの水系製剤への応用も可能になる。

 同社は、この技術を応用することで、セラミド機能成分(保湿成分)を含む油を微細に乳化し、これまで実現不可能であったスプレー剤型の化粧水にセラミド機能成分を配合することに成功。2020年4月に「キュレル ディープモイスチャースプレー」を発売した。

 この商品は、保湿効果といつでも気軽に使える簡便性を両立した化粧水として、大きな反響を呼んでいる。
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