資生堂、世界初 ノネナールが肌ダメージを引き起こすことを発見

粧業日報 2021年4月8日号 1ページ

カンタンに言うと

  • ノネナールに対するマスキング香料でダメージを抑制することに成功
資生堂、世界初 ノネナールが肌ダメージを引き起こすことを発見
 資生堂は、40代を過ぎたころから男女問わず発生する体臭(加齢臭)の原因物質であるノネナールが肌ダメージを引き起こすことを発見し、ノネナールに対するマスキング香料が肌ダメージを抑制することを見出した。

 ノネナールが直接的に肌に影響を与えることを科学的に証明したのは、これが世界で初めてという。

 同社は、1980年代から香りに関する基礎的な研究に本格的に取り組み、1999年には加齢臭の原因物質がノネナールであることを発見し、そのメカニズムや、香りを目立たなくするマスキング香料の開発などを合わせて行ってきた。

 これまでの研究で、香りは全身の生理機能や皮膚の状態などに作用することがわかってきているが、香りの肌に対する直接的な作用については解明されていなかった。

 そこで今回は、ノネナールが肌に直接的にどのような作用を及ぼしているのかを探るべく、研究を進めた。



 まず、表皮細胞にノネナールを加えて実験を行った結果、ノネナールは「表皮細胞にダメージを与えること」「細胞が機能しなくなる状態である細胞死を引き起こし、表皮細胞の生存率を低下させること」を突き止めた。

 次に、3次元表皮モデルを用いてノネナールによる肌への影響を調べた。通常の3次元表皮モデルは、表皮がある一定の厚みをもって形成されるが、ノネナールを加えて培養すると、表皮の厚みが明らかに薄くなることがわかった。

 同社では先行研究により、皮膚は加齢とともに薄くなることを突き止めており、今回の研究結果により、その一因にノネナールが関係する可能性が示唆された。



 実際に、3次元表皮モデルにノネナールとともにノネナールに対するマスキング効果のある6種の香り成分を配合した新規複合アロマ香料を加えて培養したところ、表皮は薄くならなかった。

 つまり、複合アロマ香料には、ノネナールの香りを目立たなくするだけでなく、ノネナールによる肌ダメージを抑制する効果があることが示された。

 今回の発見は、皮膚科学と香りの科学を融合させた新しい視点から生み出されたものであり、香りによって肌を健やかで美しく保つという全く新しいアプローチへの展開が期待される。
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