進洋、政策的複数調達により安定した事業継続を図る

週刊粧業 2021年4月12日号 26ページ

進洋、政策的複数調達により安定した事業継続を図る
 化粧品に特化したラミネートフィルム専門商社の進洋では、約20年前に起こった最大仕入先の廃業が1社に依存していた調達体制を転換する大きな契機となり、現在はあらゆる状況でも供給責任を果たすべく、複数の仕入先から商品の調達を行う「政策的複数調達」を軸とした事業活動を進めている。

 具体的な取り組みについて、石井聖一社長に話を伺った。

 ――「政策的複数調達」の取り組みについて、改めてお聞かせください。

 石井 常に複数の協力会社から化粧品用のラミネートフィルムを調達することが当たり前になった現在は、1社依存だった当時と比べると品質管理システムや設備面が段違いのレベルとなり、こうした外部資源の有効活用が当社の提供価値を生み出している。

 それを実感したのは、1社依存の体制転換から10年後に発生した東日本大震災で、関東や北関東にある生産拠点ではフィルムの原資も出荷できない壊滅的な状況となった。

 しかし、関西や九州の協力会社から調達し、こうした状況でもお客様に対して製品を供給する責任を果たすことができ、この時初めて「政策的複数調達」が当社の長所であることを認識できた。

 ――現在はどのようなBCP対策を進めていますか。

 石井 当社では通常、社員が実際の印刷現場で色味の最終仕上がりなどをチェックする「印刷立会」を行っているが、コロナ禍で工場での印刷立会が難しい状況にある。

 そこで、その代替として工場の印刷本機と同等のサンプルを作成できるグラビア印刷用の「マルチ校正機」を活用することで、印刷立会をしなくてもサンプルで色のパターンやイメージを事前に確認することができる。

 マルチ校正機を導入しているコンバーターは全国的にも少なく、印刷立会業を自負する当社ならではの取り組みといえる。

 印刷立会のような一見すると面倒で非効率なことを進洋がお客様の代わりに行い、メーカー側ではなくお客様側に立って製品を提供し続けるからこそ、我々の存在価値がある。

 進洋としては今後、商社よりも現場に近い存在となり、現場の状況を熟知したうえでお客様も気づかないような潜在的なニーズや志向を掌握し、メーカーとお客様の双方をつなぐことで要望以上のモノを作り上げる「職商人(しょくあきんど)」を目指していく。
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