花王、第53回日化協技術賞「環境技術賞」を受賞

粧業日報 2021年6月3日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 超低温定着トナー「LUNATONE」の開発で
花王、第53回日化協技術賞「環境技術賞」を受賞
 花王はこのほど、「超低温定着トナー『LUNATONE』の開発」により、優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業・経済社会の発展に寄与した業績を表彰する、一般社団法人日本化学工業協会の第53回(2020年度)日化協技術賞「環境技術賞」を受賞した。

 「環境技術賞」は環境負荷低減に対して著しい効果がある独創的技術・改良技術として、科学技術の進歩に寄与した団体に与えられるもので、同賞の受賞は今回で4回目となる。

 超低温で定着可能なトナー「LUNATONE」は、レーザープリンターでは、トナーを熱や圧力によって溶かし、用紙に定着させることで印刷を行うが、トナーの定着にはエネルギーの消費が大きく、環境負荷低減の観点から低温での定着化技術が求められていた。

 しかしながら、低温定着が可能なトナーは輸送・保管時の熱でトナー同士が凝集・融着してしまうため、耐熱保存性を維持することが困難だった。

 そこで今回は、独自のポリエステル設計技術・界面制御技術を応用することで、従来の花王の低温定着トナーと比較して40℃低い、100℃以下の温度での超低温定着と耐熱保存性の維持に成功。これにより、これまで印刷が困難だったラベルやパッケージなどの熱に弱いフィルムへの印刷が可能となった。

 また、通常のトナーよりも熱応答速度が速いため、瞬時に濡れ広がって印刷面を覆うことで、少ないトナー量でも従来と同濃度の印刷ができ、トナー使用量の大幅な低減を実現している。

 今後も、オフィス印刷や産業印刷などの印刷市場全体の環境負荷低減に貢献していくとともに、豊かな生活文化の実現と社会のサステナビリティの貢献に向けて、研究知見を結集・融合し、本質研究を深化させることで、環境への負荷低減と機能性を両立する商品づくりを進めていく。
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