花王、バイオIOSがGSC賞「経済産業大臣賞」を受賞

粧業日報 2021年6月17日号 4ページ

花王、バイオIOSがGSC賞「経済産業大臣賞」を受賞
 花王はこのほど、「サステイナブル界面活性剤バイオIOS(Internal Olefin Sulfonate)の開発」により公益社団法人新化学技術推進協会の第20回(2020年度)グリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)賞「経済産業大臣賞」を受賞した。

 この賞は、グリーン・サステイナブル ケミストリーの推進に貢献する優れた業績に授与されるもので、「経済産業大臣賞」は産業技術の発展に著しく貢献した団体に与えられる。同社の受賞は今回で5回目となる。

 今後予測されている世界的な人口増や新興国の経済成長に伴って、界面活性剤の需要増が見込まれている。

 現在、洗浄剤用途の界面活性剤の主原料は、植物油脂全体に占める割合がわずか5%ほどの炭素数12、14のラウリン系油脂で、原料はヤシ油やパーム核油だが、その生産地は赤道直下の熱帯地域に限られ、原生林伐採などの環境破壊が問題視されることからも、安定的な供給が懸念されている。

 そこで花王は、将来起こりうる原料不足を考慮し、流通する油脂の中で汎用のパーム油に含まれる炭素数16、18のオレイン系油脂を利用した界面活性剤「バイオIOS」の開発に取り組んだ。

 「バイオIOS」は、植物油脂全体の95%にあたる炭素数16、18のオレイン系油脂の中でも食料用途と競合しにくい固体部を原料としている。

 親油基の中間部に親水基を有する特殊な分子構造により、水に溶けやすく、少量で油に吸着して高い洗浄力を発揮。高い生分解性、低い水生生物毒性という特長もある。



 同社においては、2019年から販売を開始した衣料用濃縮液体洗剤「アタックZERO」に採用され、温暖化ガス発生量などの項目において大幅な環境負荷低減の達成に寄与している。
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