化粧品原料商社として1975年に創業し、OEMや容器製造なども手がけるホシケミカルズでは、化粧品製造の全てをワンストップで網羅するモノづくり企業としての強みを活かし、環境配慮をテーマとした化粧品づくりにおいて企画開発・製造から、容器・パッケージや原料の選定に至るまで多方面からサポートしている。
事業の柱とするOEMでは、環境に配慮した化粧品を提供するモノづくり企業の責務として、創業当初より自社工場(群馬・埼玉)で8つのS(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ・SAFETY・SAVE・SMILE)を徹底している。
安全にルールを守りながら無駄なく製品をつくることでバルクの廃棄量が抑えられ、結果として原料や資材、作業時間など生産面のあらゆるロスの抑制につながっているという。
群馬工場では、2012年に温室効果ガス排出削減の実現に向けた群馬県独自の環境マネジメントシステム「環境GS(ぐんまスタンダード)」の認定を受けてから、今年で10年目を迎える。社内のLED化やペーパーレス化、遮断シートの設置などを推進し、生産時における電力消費量の抑制に努めてきた。
製造部門ではこのほか、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの一種であるフロン類の使用や管理に関する法律が2019年12月に施行されたことを受け、フロン排出抑制法に基づく「第一種フロン類充填回収業者」と連携し、フロンガスの排出抑制も進めている。
「OEMの傾向としてはこの1年で、ブランドやカテゴリーのジャンルを問わず、クリーンビューティやサステナブルが価格と同様、モノづくりにおいて外せない価値観の1つとして定着してきている。こうした流れを受けて、製造現場や処方開発においても環境配慮が求められており、それに対する企業姿勢が選ばれるOEMの1つのグローバル基準になる」(企画開発室広報 平地祥子氏)
容器に関しては、国内外の容器メーカーとのネットワークを活用し、森林環境保護の観点から注目の高まるFSC認証紙を採用し、プラスチックの使用量を約50%削減したチューブ容器をはじめ、詰め替え用パウチ、植物性・生分解性プラスチック、バイオマス、陶器、リサイクルガラスなど幅広いプラスチック代替容器の中から、バルクとの相性やコスト面などクライアントのニーズに合致した最適な容器を提案している。
このほか、現地企業と合弁で設立したインドネシア工場においては、生分解性プラスチックをはじめとする環境に配慮した特殊樹脂を用いたメーク容器の開発を進めている。
パッケージに関しては、包装箱の過剰包装を見直し、シュリンク包装からバージンシールへとシフトするなど、OEM製品のプラスチック使用量削減に取り組んでいる。
「幅広いクライアントのニーズに対応するためにも、やはり様々な選択肢を持つことが重要だ。今後は国内だけでなく、海外の容器メーカーとの関係性を強化していき、機能性や意匠性の高い環境に配慮した容器・パッケージのラインナップを拡充していきたい」(平地氏)
原料に関しては、クリーンビューティやSDGsなど最新のトレンドに対応した原料から汎用性の高いベース原料まで、商社として国内外から安全で良質な化粧品原料の調達を行っている。また、原料の選択や組み合わせが化粧品の製造において重要なポジションを占めるため、新たな原料情報の収集や処方研究、品質検査などの管理業務に注力している。
「SDGsやクリーンビューティーへの対応は、何から手をつければいいのか難しいと感じるクライアントも少なくない。そうした中で、製品開発で取り入れやすいのが環境に配慮したサステナブルな原料で、着実に採用実績を積み重ねてきている。具体的には、トレーサビリティが徹底され、女性支援(原産地の働き手への配慮)にもつながる仕組みが確立されている『アルガンオイル』への引き合いが高まっている。このほか、農業廃棄物を有効活用したアップサイクル視点の『植物由来の保湿剤』や、海洋汚染で問題となっているマイクロプラスチックに分類される化粧品原料の代替品として、環境に優しい『植物性スクラブ』や『生分解性グリッター』などの原料も提案を強化していきたい」(平地氏)