ライオン、涙の油層を安定化させるオイル成分を発見

粧業日報 2021年10月27日号 2ページ

ライオン、涙の油層を安定化させるオイル成分を発見
 ライオンは、涙が蒸発しやすい状態を生じさせ、ドライアイの要因の1つになっているとして近年注目を集めている涙の「油層」の不安定化現象について研究を行った結果、ミネラルオイル(流動パラフィン)が涙の油層を安定化させることを発見した。研究内容は、2020年発行の「Journal of Oleo Science」に掲載された。

 ドライアイに悩んでいる人が2200万人と言われている中、同社は角膜の傷に着目し、角膜修復成分であるビタミンAの研究を行うほか、ドライアイ改善技術の開発にも取り組んできた。

 しかし、目薬ユーザーの中には、目薬をさしてもなかなかうるおいが持続しないと悩んでいる人が未だに多く存在している。近年の研究では、ドライアイの中には涙が蒸発しやすいタイプがあることがわかってきており、涙の外側をベールのように覆っている油層の不安定化が関係していると言われている。そのため、このタイプのドライアイに悩んでいる人は、目薬をさしてもまたすぐに乾きを感じてしまうことが考えられた。

 そこで同社は、涙の蒸発を防ぐ役割をもつ油層を安定化してドライアイを解決するという新しいアプローチで研究を進めた。

 涙の油層は、ワックスエステルやコレステロールエステルなどの極性が極めて低い成分から構成されており、正常な瞳ではまばたきによって再現性よく伸び縮みし、眼表面上で均一性を保っている。

 しかし、加齢や性ホルモンなどの影響で油層の成分が変化すると、まばたきによって均一に広げられなくなる油層が不安定化することがわかっている。

 そこで、ゴマ油などの植物油よりも極性が低極性が低く、涙の油層とよくなじむことが期待されたミネラルオイルを候補シーズとして選定した。この候補シーズの効果を検証するために、まばたきの状態を再現した油層モデルを作成し、実験を行った。

 正常な涙の油層を用いた実験では、網目状の構造がまばたきに対する油層の安定性を高めているのに対し、油層の成分が変化すると網目状の構造がなくなり、不安定化してしまうことがわかった。この不安定化した油層に対してミネラルオイルを加えると、網目状の構造が復元され、まばたきに対する安定性も回復することがわかった。

 同社は、引き続き様々な角度からドライアイなど、不快な目の症状を改善するための研究を重ね、情報発信を行っていく。
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