ホルス、サイタイ血幹細胞培養液の国産化を実現

週刊粧業 2021年11月8日号 10ページ

ホルス、サイタイ血幹細胞培養液の国産化を実現
 化粧品の原料開発からOEM・消費者向け販売をグループで手掛けるホルスは、完全国産化した「世界初」の「サイタイ血幹細胞培養液」の提案に注力している。

 さらに、「エクソソーム」を豊富に含むデータを新たに取得し、細胞内の「サイトカイン」との相互作用で、美肌効果やシワ・タルミの抑制など高いエイジングケア効果が期待できる原料として拡販を進めていく。

 幹細胞とは、細胞の基となる細胞を指し、自分のコピーを生成する「自己複製能」と身体を作る様々な細胞へ変わる「分化能」を併せ持つ。

 ヒト由来の「幹細胞」を培養して得られる上清液「幹細胞培養液」を化粧品に配合すると、細胞にアプローチし、肌根本からの改善が期待できる。

 同社が開発した「サイタイ血幹細胞培養液」は、臍帯血(へその緒)に含まれる幹細胞を培養して得られる上清液で、20~30代の「日本人」由来の臍帯血をドナーに使用。細胞の採取から製造までの一連の流れを日本国内で行っており、「完全国産化」を実現している。

 さらに同社は近夏、世界で初めて、表示名称「ヒトサイタイ血幹細胞順化培養液」とINCIを取得した。「世界初」を謳える原料として提案している。

 ヒト幹細胞培養液の由来に「臍帯血」に着目した理由について三井幸雄社長は、「サイトカインが豊富に含まれることを確認しているほか、受精卵を胎児になるまで育てる臍帯血から抽出した幹細胞は人の身体の中で最も若い組織といえるため、肌細胞の活性化に適していると考えた」と語る。実際に同社は、同原料の有効性を確認できるデータを多数取得している。

 例えば、情報伝達物質である「エクソソーム」量の比較試験では、脂肪由来と比べ「サイタイ血」由来の幹細胞培養液の方が「エクソソーム」を多く含有していることが明らかとなっている(同社比)。細胞から分泌されるリポソーム「エクソソーム」は、たんぱく質や核酸・脂質などを内包しており、細胞に取り込まれることでサイトカインの産生や創傷治癒などの効果が期待できる成分といえる。

 また同原料には、EGFやFGF、GDF-1をはじめ多数の「サイトカイン」がバランスよく含まれている点も特徴的だ。
「サイトカイン」は、体内の幹細胞を効率よく増殖させる役割を担っているが、そのバランスが崩れると幹細胞の増殖が鈍化する。こうした中「サイトカイン」をバランスよく補うことで環境が改善され、細胞の増殖を促すことができるという。

 中でも「サイタイ血」由来の幹細胞培養液には、細胞の増殖を促進する「EGF」に加え、若返り因子と呼ばれる「GDF-11」も豊富に含まれている。「GDF-1」は、年齢とともに減少するが、幹細胞やコラーゲン、エラスチンなどの増殖を促し皮膚の再生やエイジング作用が期待できる重要な成分となっている。

 「当社の『サイタイ血幹細胞培養液』は、『エクソーム』や『サイトカイン』等の有効成分を単体で抽出することなく、培養により各有効成分の量を増やしている。これにより有効成分が相互作用することで、体内の幹細胞量を維持しながら一般細胞の増殖も促進し、美肌効果に加え、高いエイジングケア作用も期待できる」(三井社長)

 さらに同原料には、シワ・たるみの抑制、ターンオーバーの正常化、保湿など多数の効果が示されているという。

 一例として「保湿」試験では、肌に同原料と水をそれぞれ塗布し、経時的な角質水分量を測定した。塗布後20分から80分後までの間に優位差が表れるなど、水と比較し高い保湿効果が確認された。

 外用で期待できる肌の「きめ改善」を測ったモニター試験では、洗顔後、同原料を2滴手に取り指先で目尻に塗布。塗布前後30分の計2回、マイクロスコープで撮影した画像を解析したところ、塗布30分後にはくっきりとしたきめが目視確認できた。この結果から「サイタイ血幹細胞培養液」の塗布によって「きめの改善」効果が示唆された。

 創傷治癒効果の指標となる「細胞遊走」試験では、培養した上で増殖を停止させた「角化細胞」を試験用の培地に播種(ハシュ)し、「サイタイ血幹細胞培養液」を添加。培地中央にあるギャップ領域への細胞の移動量を観察したところ、同原料を3%添加した細胞・10%した添加細胞それぞれにおいて、非添加と比較し優位な移動が示された。

 創傷治癒の過程では、細胞がキズに向かって増殖・遊走するため、「サイタイ幹細胞培養液」は創傷治癒効果があると確認されている。

 このほか、肌へのハリやシワに効果を発揮する「コラーゲン産生促進」作用や、肌の柔軟性や潤いの維持に関与する「ヒアルロン酸産生促進」作用など、多数の有用性データも取得されている。

 また、安全性試験では、代替皮膚一次性試験や代替皮膚感作性試験、敏感肌パッチテストなど各種において陰性報告を得ている。ウイルスチェックでも、採取した幹細胞において細菌、真菌、マイコプラズマ、エンドトキシンの陰性を確認。最終製品も同様に細菌、真菌、各種ウイルスの陰性が確認されており、安全性にも配慮した原料であることがわかっている。
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