コーセー、第87回SCCJ研究討論会にて最優秀発表賞を受賞

粧業日報 2022年1月11日号 4ページ

カンタンに言うと

  • リポソーム製剤が形成するラメラ構造に着目した肌効果メカニズム解明で
コーセー、第87回SCCJ研究討論会にて最優秀発表賞を受賞
 コーセーは、日本化粧品技術者会(SCCJ)第87回研究討論会(2021年12月3日、オンライン開催)にて「リポソーム製剤が形成するラメラ構造に着目した肌効果メカニズムの解明」について発表し、最優秀発表賞を受賞した。今回の研究討論会では、化粧品技術に関する27件の口頭発表の中から最も優れた発表として評価された。

 リポソームは、肌に含まれる生体成分であるリン脂質がたまねぎ状に多重層となった0.1~0.2μmの微小なカプセルであり、保湿やバリア機能などの肌効果が認められているが、そのメカニズムは十分に解明されていなかった。

 そこで研究では、リポソーム製剤を肌に塗布した際に形成される構造体に着目し、その構造解析を実施することで肌効果のメカニズムを検証した。

 リポソーム製剤を塗布した角層の構造解析(SPring-8やKEK-PFといった放射光施設におけるX線小角散乱測定)を行ったところ、皮膚バリアに対して重要な役割を果たすラメラ構造由来のピークが大きくなることがわかった。

 また同試料を電子顕微鏡で観察したところ、角層内の細胞間脂質の厚みが増していることも確認され、リポソーム製剤は角層表面・角層内部の両方でラメラ構造を形成することが明らかとなった。さらに、コレステロールやフィトステロールと呼ばれる油剤を配合したリポソーム製剤にすることで、このラメラ構造の形成や、そのバリア特性である水分閉塞性が向上することもわかった。

 以上の結果より、リポソーム製剤は角層の内外にラメラ構造を形成し、その閉塞性が肌効果に関与していることが明らかになった。

 研究成果は、これまで解明されていなかったリポソーム製剤の肌への有用性を示唆するものであり、今後も研究を進めることで新しい発見と、有用性の高い製品開発へとつなげていく。
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