日本色材工業研究所では昨年、仕上工程のみを行っていた吹田工場を閉鎖し、生産体制の再構築を行った。奥村浩士会長は「筋肉質な企業経営を目指す我々の努力が実を結び始めてきている」とこの1年を振り返る。
昨年の取り組みと今年の抱負について、奥村会長に話を伺った。
――昨年を改めて振り返っていただけますか。
奥村 売上構成比の8割を占めるメークアップが、コロナ禍で依然として苦戦を強いられた。
メーカー各社は東京五輪のインバウンド需要を見据え、2019年末から2020年初にかけて商品在庫を積み増していた。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、メークの売上が大きく落ち込んだことで、従来の売上規模で3~4カ月分だった在庫が1年分の在庫に膨らんだ。
この影響でリピート受注がストップしたほか、新製品も繰り延べになった。
こうした状況からようやく昨年に入り在庫が適正化し、国内外の大手メーカーを中心にリピート受注や新規受注が入るなど、徐々に回復に向けた兆しが見られるようになってきた。
製品開発では昨年、フランスに拠点を持つ日本色材グループの強みを活かし、人と地球にやさしい「クリーンビューティ」をテーマとした新アイテムをCITE JAPANで提案し、いずれも好評を得た。グローバル基準のクリーンビューティコスメを提案できる強みが、当社の大きなアドバンテージとなっている。
10月にはフランスで開催のMake Up in Paris 2021に出展し、「日本とフランスの融合」をテーマに、ナチュラリティの高い処方やメタリックなアイライナーなどを紹介した。
11月には、当社の持つ研究・技術をより広く知っていただけるよう、ホームページのコンテンツを拡充した。今後も製品についての情報を積極的に発信していきたい。
――今年の抱負をお聞かせください。
奥村 早ければ今年の後半、あるいは来年にはリベンジ消費に関連した需要が来るものと想定している。それに対し、筋肉質な企業経営を継続しながらも、生産対応できる体制にしていかなければならない。経営的にはそこのせめぎ合いが非常に難しく、今年の大きな課題となるだろう。
海外では、特にヨーロッパを中心に回復基調にあるため、フランスにあるグループ会社のテプニエ社と日本色材フランス社は、いずれも今年売上を伸ばす見通しだ。
テプニエ社は医薬品だけでなく、メークアップで既存品の大型リニューアルが控えている。日本で処方を開発し、フランスで生産を行い、こうしたグループ一体の取り組みを今年はさらに推進していく。