資生堂、皮膚科学研究とAI技術の融合で独自のDNA検査法を開発

訪販ジャーナル 2022年3月14日号 2ページ

カンタンに言うと

  • 一人ひとり異なる先天的な肌の特徴を高精度に評価
資生堂、皮膚科学研究とAI技術の融合で独自のDNA検査法を開発
 資生堂は、長年の皮膚科学研究知見と、蓄積してきた日本人女性1472名のビッグデータに、機械学習法などのAI技術を組み合わせ、DNAの特徴(SNP)と肌状態との関連性を明らかにした。また、得られた結果から独自のアルゴリズムを構築し、一人ひとり異なる先天的な肌の特徴を高精度に評価できる新たなDNA検査法の開発に成功した。

 この検査法は、肌を構成する要素に直接的な影響がある因子だけでなく、血管やホルモン、ビタミン代謝など体内から間接的に肌への影響が示唆される因子を含む79種類の幅広いSNPからの情報と、膨大な肌の実測データを組み合わせて構築したアルゴリズムを用いることで、高精度かつホリスティックに顧客の肌を理解することを可能にした。

 肌とDNAに関する膨大なデータと向き合い、個人で異なるDNAの特徴と肌状態の関係性について研究を深めていくことで、顧客一人ひとりに寄り添う新たなビューティーケアの実現を目指す。

 肌の状態は、紫外線対策などを含むスキンケアや、食事、運動、睡眠、喫煙などの生活習慣の影響に加えて、先天的な遺伝的特徴の影響も受けることがわかっている。遺伝的特徴には、DNAのSNPの違いが影響しており、個人毎にさまざまなSNPを持つことが知られている。現在の肌状態に加えて、こうしたSNP情報をもとにした生まれもった肌の特徴を理解することができれば、高いパーソナライズ性のある、これまでにないビューティーケアの提案につながる。

 そこで同社は長年にわたる皮膚科学研究とAIなどの新たな技術を組み合わせ、日本人女性1472名のビッグデータを用いるなどして、SNPと肌状態の関連性について研究を進めた。

 まず、同社の先行研究により、コラーゲン代謝関連因子など肌状態に直接的な影響を与える肌内部の因子に加え、血管の状態や、ビタミンなど栄養成分代謝、ホルモン代謝など間接的に肌への関与が示唆されている体内因子から、79種類のSNPを厳選し、解析対象として設定した。

 続いて、シワ、シミ、バリア機能などの豊富な項目の肌測定データに、紫外線履歴、喫煙歴、年齢情報も追加し、機械学習に用いた。肌状態の各項目については年代別に比較を行い、平均から上下25%外れた人がもつ特徴的なSNPを解析し、独自の評価アルゴリズムを構築した。

 そして独自のアルゴリズムを用い、「シワのできやすさ/できにくさ」など、人が生まれつきもつ肌の様々な特徴の各項目に対応する5~10種類のSNPの組み合わせを見出した。

 一般的な肌のDNA検査では、肌状態の各項目に対して1~2種類のSNPを解析するが、より多くのSNPを解析することで正確性が高まることを突き止めた。さらに、多様なSNPと膨大な肌の実測データの組み合わせから構築したアルゴリズムを活用することで、一人ひとり異なる肌の特徴を、非常に高い精度で評価する新たなDNA検査法を開発することに成功した。

 肌状態の各項目に対応するSNPの組み合わせは、肌内部の因子だけでなく、体内因子を含めた多様な種類で構成されることも突き止めた。これはつまり、健やかで美しい肌へ導くためには肌への直接的なアプローチに加えて、食事や運動、睡眠など、ホリスティックなアプローチも有効であることを示唆している。

 得られた知見を応用し、顧客一人ひとり異なる肌の特徴評価から「なりたい自分」を目指すための、より良いビューティーケア提案につなげていく。
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