資生堂、皮膚常在菌の新たな検査法を開発

粧業日報 2022年4月1日号 1ページ

カンタンに言うと

  • PCR技術を応用し約40分で測定が可能に
  • 一人ひとりの「今の私の肌」に最適なスキンケアを提案
資生堂、皮膚常在菌の新たな検査法を開発
 資生堂は、歯周病菌検出装置を開発・販売するヤマトエスロン、オルコアと共同で、短時間で簡便に皮膚常在菌の量とバランスを測定する新たな検査法を開発した。

 一般的に、顧客向けサービスとして実施されている皮膚常在菌検査は、サンプルを採取後、専門機関で解析するため、顧客の元に結果が通知されるまでに1カ月程度の時間を要していた。

 今回、小型の簡易型PCR検査装置を応用することにより、誰でも簡単に、約40分で検査結果を取得できるようになった。場所を選ばずその場で皮膚常在菌の状態を把握することができるため、高付加価値な店頭体験や新たな美容サービスにつながることが期待される。

 同社では独自のR&D理念「DYNAMIC HARMONY」のIndividual/Universalというアプローチのもと、長年続けてきた皮膚常在菌研究により蓄積してきた膨大なデータから、顧客一人ひとり異なる皮膚常在菌の状態を、簡便に把握する手法の開発に挑戦した。

 今後、横浜・みなとみらいにある研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)」にて、同検査法を活用した顧客向けの独自の皮膚常在菌測定サービスの試験的な導入を検討していく。

一人ひとりの「今の私の肌」に
最適なスキンケアを提案

 皮膚には約1000種類の皮膚常在菌が存在するといわれ、その種類やバランスは、皮膚の美しさや健康に関連することが近年明らかにされている。

 同社は先行研究において、敏感肌では皮膚常在菌の多様性が低いことや、プレバイオティクス成分が皮膚のキメや水分量を改善することなどを見出しており、それらの知見を化粧品や肌測定システムの開発に応用している。

 現在、一般的に顧客向けに提供されている皮膚常在菌検査は、高度で専門的な実験手技や解析技術、大型の装置が必要であり、サンプルの採取から結果の取得まで、輸送を含めて1カ月程度の時間を要していた。

 そこで今回、顧客の今の皮膚常在菌の状態を調べ、同社の強みである顧客に寄り添った美容部員の高度なカウンセリングサービスと合わせることにより、これまで以上に適切なケアを提案するため、皮膚常在菌の測定技術の汎用化に挑んだ。

 その結果、共同開発先であるヤマトエスロン、オルコアが歯周病菌の定量評価に用いていたPCR技術や小型の検査装置を応用し、簡便に皮膚常在菌の種類や量を検出することに成功した。これにより、場所を選ばず、専門的な技術がなくても、約40分の短時間で結果を得ることができるようになった。

 今回、皮膚の美しさや健やかさとの関連が強く示唆されている、表皮ブドウ球菌と、アクネ菌の2種類の常在菌を測定対象としており、これらの量やバランスについて、従来研究用途で用いられてきた手法(16S配列解析法)と同等な結果が得られることを確認している。以上により、精度が高く、汎用性のある皮膚常在菌の検査方法が確立された。

 今後はこの技術をもとに、皮膚の美しさや健康に重要な役割を果たしている皮膚常在菌についての理解を促し、強みである顧客に寄り添った美容部員の高度なカウンセリングサービスとかけあわせることで、一人ひとりの今の肌状態に合わせた適切なスキンケアを提案していく。
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