資生堂、目周りの皮膚に特有な加齢変化を発見

粧業日報 2022年4月11日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 真皮上層のランダム配向コラーゲンの減少が目元のたるみ・シワの原因に
資生堂、目周りの皮膚に特有な加齢変化を発見
 資生堂は、徳島大学との共同研究により、偏光SHG顕微鏡を用いて、目周りの皮膚では他の皮膚とは異なる特有の加齢変化が起こることを発見した。

 今回開発した新たな観察手法により、目周りの真皮上層部はコラーゲン線維の配向がランダムで柔らかい構造をしており、真皮下層部はコラーゲン線維の配向が一方向で硬い構造をしていることを明らかにした。

 さらに、加齢に伴い、上層のランダム配向コラーゲンのみ顕著に減少し、下層の一配向コラーゲンは維持されることを確認し、これが目元のたるみやシワの原因の一端であることを見出した。

 今後、得られた知見をもとに、部位や目的に応じた適切なスキンケアへのアプローチの開発を目指すとともに、最先端の研究知見をもとに、グローバルで肌悩みの解決につながる革新的な研究を進めていく。

 同研究は、独自のR&D理念「DYNAMIC HARMONY」のInside/Outsideというアプローチで研究を進めている。目周りに特徴的な肌内部の加齢変化を理解することで、目元の悩みに対する根本的な解決を目指し、その人本来の美しさを引き出す、目周りに特化した革新的な製品やサービスの開発に取り組む。

 目周りの皮膚は他の部位と比べて薄く、頬の皮膚の3分の1から2分の1ほどの厚さしかなく、特に真皮層(コラーゲン)の厚さが大きく異なることがわかっている。また、まばたきや表情の変化など、日々の生活の中で頻繁に動かし続けていることから、目元は疲れや加齢の影響が特に出やすい部位とされている。

 同社はこれまでにも、皮膚の中のコラーゲンの厚さや形状といった形態評価を行ってきたが、従来の技術では線維の走る方向や線維密度(硬さ)といった質的評価を行うことは困難だった。そこで今回、徳島大学と共同でコラーゲン線維の新たな観察方法を確立し、目周りの構造についてさらに研究を進めた。

 徳島大学との共同研究により、偏光SHG顕微鏡を用いてコラーゲン線維の向きと密度を解析する技術を新たに開発し、目周りの皮膚は特徴的なコラーゲン構造をもつことを発見した。

 目周りには、眼輪筋の流れに対して垂直に一方向に走る、太く硬いコラーゲン線維の層と、様々な方向にランダムに走る、密度の低いふわふわと柔らかなコラーゲン線維の層が存在することを明らかにした。また、加齢に伴い、真皮上層に存在するランダム配向コラーゲン線維のみが顕著に喪失することを見出した。

 「真皮下部に存在する方向性のあるコラーゲン線維は加齢変化で減少しないが、線維が一方向で硬い状態だと、シワの固定化を引き起こす可能性がある。こうした構造変化によって本来の形状を保つことが困難となり、目元のたるみやシワなどの肌悩みにつながる。美しい肌を維持するためには、二層のコラーゲン構造へのアプローチが有効であると考えられる」(同社)
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