ライオン、香料開発に自動化技術導入で開発期間を20%短縮

粧業日報 2022年4月28日号 4ページ

ライオン、香料開発に自動化技術導入で開発期間を20%短縮
 ライオンは、香料の調合を高精度で短時間かつ全自動で行う自動調合ロボットをヤナギヤと共同開発し、ハミガキの香料開発に導入した。この技術とライオンがすでに開発している「熟達者思考AI」(ベテラン研究員の知見、過去の香料処方や香料原料約500種の特徴データを学習させたAI)とを併せて活用することで、最大約20%のハミガキの香料開発時間削減が見込まれ、開発のスピードアップが期待される。

 ライオンでは、毎日の歯みがきにおいて、ハミガキの香味は重要な要素であると捉え、配合する香料は自社が中心となって検討することで、自社ならではの香料を開発している。その反面、香料開発には、膨大な検討時間が必要となっており、検討確度の向上や開発のスピードアップが急務となっていた。

 ハミガキの香料開発は、製品特長や生活者嗜好に合わせて、数百種類の香料原料から大まかな組み合わせと配合量を設定する「基本骨格開発」と、骨格を目指す香味へと調整する「最適化」の大きく2つの工程からなる。

 「基本骨格開発」においては、「熟達者思考AI」の活用でスピードアップを図っているが、香料原料は0.001グラム単位の差が香味の印象を左右するため、組み合わせや配合量を検討するための「香料の調合」は、両工程に共通する負担が大きい研究業務となっていた。

 特に「最適化」においては、香料の最終調整に向け、繊細かつ高い秤量精度と膨大な組み合わせの検討が必要なことから、香料の調合の効率化に取り組んだ。

 自動調合ロボットは、0.001グラム単位の誤差の精度で、香料原料調合を全自動で行うことができる。さらに、既製品よりも小型化することで、研究所スケールでの検討が可能となる。この秤量の精緻化には、ヤナギヤが保有する食品加工機械の知見を活用した。

 この技術の導入により、生活者のニーズに合わせた多様な香料の組み合わせの提案が迅速に行えるようになった。さらに、ライオンが先行開発したハミガキ香料開発の「熟達者思考AI」と併せて活用することで、ハミガキの香料開発全体において、最大で従来の開発業務時間の約20%を削減できる。

 今後も今回の共創のように、事業で培われた技術と、社外の新たな技術を融合することにより、自社ならではの新たな価値を提案していく。
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