ライオンと日立、DXで製品開発時間を最大40%短縮

粧業日報 2022年5月9日号 4ページ

カンタンに言うと

  • ハミガキの製造プロセス上の課題を事前予測し、最適組成を自動提案
ライオンと日立、DXで製品開発時間を最大40%短縮
 ライオンと日立製作所は、研究所で開発した新たなハミガキの組成をもとに、実際に工場で生産する際に生じる課題を事前に予測し、製造プロセス上最適な組成情報や物性情報の案を自動提案するシステムを開発した。

 先進デジタル技術を活用することで、最大約40%の製造プロセス検討時間の削減が見込まれるため、ハミガキの製品開発のスピードアップが期待される。

 ライオンは、同システムの運用により製品開発の効率化を図るとともに、効率化により創出された時間を、生活者のニーズ探索やそれに基づく技術・製品開発などに活用する。

 また、より多くの生産課題や品質予測に活用するほか、他製品の製造プロセスへの応用を視野に検討を進めていく。今回の取り組みのように、ライオンの事業領域で培われた技術と、社外共創による新たな技術を融合することにより、ライオンならではの新たな価値を創造していく。

 多様化する生活者ニーズに寄り添った高品質な製品を開発するうえでは、蓄積された経験や知識と一定の時間が必要で、ライオンでは検討確度の向上や開発のスピードアップが急務な状況だった。そこで今回は、ライオンの主力事業であるハミガキの開発において、製造プロセスを開発する際に課題となる「移送性」の解決に向けて、日立の「材料開発ソリューション」を導入することによる業務効率化に取り組んだ。

 業務効率化に向けては、ライオンが長年培ってきた「ハミガキの製品開発の知見」「原料配合量の組み合わせ」「物性測定データ」などのサンプルデータに、日立のMI技術(マテリアルズ・インフォマティクス技術、材料開発の効率を向上させる技術)を適用して物性を予測するモデルを構築した。

 ライオンでは、このモデルを活用し、研究所で新たに開発したハミガキの組成や物性の情報から移送性を事前予測するとともに、移送性の情報などの目標とするハミガキの物性値から逆解析することで自動提案された、最適な組成情報や物性情報の候補を用いてハミガキの製品開発のスピードアップを図っていく。

 新システムの導入により、組成開発の初期段階で、製造プロセス工程の課題を事前予測することが可能となるため、製造の妨げとなる事象の発生率低下に大きく貢献することが期待される。
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