花王、化粧のりがよい肌に導く新パウダージェル技術を開発

粧業日報 2022年7月27日号 4ページ

花王、化粧のりがよい肌に導く新パウダージェル技術を開発
 花王では、すでに確立している独自のパウダージェル技術をベースに、より軽くなめらかにのびる粉体と低粘度油剤を組み合わせることにより、肌になめらかに密着する性能がアップした新パウダージェル技術を開発した。今後はこの独自のユニークな技術をさまざまなベースメーク品に応用していく。

 ファンデーションは粉体と油剤、水などで構成されており、油剤に対して粉体の割合が多いと「パウダータイプ」、少ないと「リキッドタイプ」に分類される。

 パウダータイプは、粉体同士がつながっているため、粉体の特性である軽いつけ心地やカバー力が発揮され、リキッドタイプは、油剤同士がつながっているため、油剤の特性であるうるおい感が出る。パウダージェル技術を用いると、粉体も油剤もそれぞれつながった特殊な構造となり、双方の特性を両立することが可能になる。ただ、通常はこの状態を安定的に維持することが困難であるため、同社は、高吸油性粉体を適切に組み合わせることで、この課題を解決してきた。

 今回の研究では、より軽くなめらかにのびる粉体と低粘度油剤を組み合わせることにより、塗るときの肌への抵抗が少なくなり、肌の上で平滑な塗膜が形成されることを発見した。これにより、パウダージェル技術が進化し、肌になめらかに密着する性能がアップした。

 新技術を用いたファンデーションの付着状態を確認するため、極度に乾燥した肌やキメが粗い状態の肌に塗布して観察した。その結果、乾燥した肌では、油分が少ないパウダータイプは角層がめくれた箇所にまとわりつくようにムラになって付着したが、パウダージェルは油分がかさつきを抑えることで均一に付着した。

 一方、キメが粗い肌では、粉体が少ないリキッドタイプは深い凹凸に落ち込んでしまったが、パウダージェルは粉体が多いため凹凸に入り込みにくく、均一に付着した。これらの結果から、パウダージェルは油剤と粉体の両方の特性を兼ね備えているため、肌の状態を選ばず、密着してカバーすることができるという。

 実際に、同社が開発した「Kirei 肌 AI」でファンデーションの仕上がりを分析したところ、パウダージェルは他の剤型に比べて、視覚的つやが高いことがわかった。

 このつやは、目視評価の訓練を積んだ「専門判定者」が評価した基準に則っており、新パウダージェルがテカリとは違う好ましい光沢、密着性の高い平滑な塗膜を肌上に形成し、肌を自然につややかに見せたためと考えられた。
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