資生堂、黒ショウガエキスが腸管バリア機能を高める作用を発見

粧業日報 2022年7月28日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 体内への異物侵入抑制に着目し、インナービューティーケアに応用
資生堂、黒ショウガエキスが腸管バリア機能を高める作用を発見
 資生堂は、広島大学大学院 統合生命科学研究科 鈴木卓弥教授との共同研究により、黒ショウガエキスの摂取により、ヒトの腸管バリア機能が強化されることを明らかにした。

 腸の細胞同士の隙間を閉じて異物の侵入を防ぐ「タイトジャンクション」の働きが強化されることで、炎症でダメージを受けた腸のケアにつながるという。また、関与成分やその作用メカニズムについても明らかにした。

 腸をケアすることで、身体の外側から届く不要なものや有害なものが腸を通して身体の内側に入るのを防ぎ、健やかな身体と肌の実現を目指す。今後、研究成果を食品などのインナービューティーケアに応用していく。

 腸管バリア機能は、細菌などの付着を防ぐ粘液「ムチン」、細菌を攻撃する「抗菌ペプチド」や「IgA(免疫グロブリンA)」、ファスナーのように腸細胞同士の隙間を閉じて異物の侵入を防ぐ「タイトジャンクション」で構成されている。

 腸管バリア機能を高め、健やかな腸を維持するには、タイトジャンクションの働きが特に重要だが、ストレスや加齢、肥満などさまざまな原因によりタイトジャンクションが壊れると、腸はダメージを受けて、異物の体内への侵入を防ぎきれず、身体や肌の不調を引き起こすことが報告されている。そこで今回、タイトジャンクションに注目し、その働きを強化するための研究を進めた。

 今回、広島大学大学院の鈴木教授と共同で、ヒト腸管細胞を用いて腸管バリア機能強化の効果を調べた。安全性が高い約50の候補成分の中から腸のタイトジャンクションに作用することが確認された15成分を抽出し、ポリフェノールの一種でポリメトキシフラボノイドに分類される「ジメトキシフラボン」「ペンタメトキシフラボン」を含む黒ショウガエキスに、優れた作用があることを見出した。

 腸管細胞を用いた実験では、黒ショウガエキスの添加により、バリア機能が強化される様子が確認された。さらに、黒ショウガエキスを摂取したヒトの群とプラセボを摂取したヒトの群の腸管バリア機能を比較し、黒ショウガエキス摂取によりヒトの腸管バリア機能が改善されることを見出した。

 また、黒ショウガエキスに含まれる成分の作用についても研究を実施し、「ジメトキシフラボン」と「ペンタメトキシフラボン」の2種類が、それぞれ複数のタイトジャンクション構成タンパク質を制御して、タイトジャンクションの強化、腸管バリア機能の増強につながることを明らかにした。
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