花王、なめらかな指どおりを持続させる毛髪技術を開発

粧業日報 2022年8月5日号 5ページ

花王、なめらかな指どおりを持続させる毛髪技術を開発
 花王は、髪全体をケアし、指どおり・毛流れを改善して髪のキメを整える技術を開発した。一般的なケア成分よりも小さく分散した状態で髪に吸着するようにコントロールされた分子同士がネットワークを形成することで膜に変化する新技術によって、膜が髪全体を均一に覆うように吸着するため、擦れや水などにも強く、長時間なめらかさを持続することが可能になるという。

 検証の結果、新しい技術で処理した毛髪はダメージ程度によらず摩擦が低下し、健康な毛髪と同程度になることが確認された。今後はこの技術を活かして、頭髪全体のキメを整え、美しい髪を1日中実感できる製品を開発していく。

 健康な毛髪は表面がキューティクルで覆われているが、ダメージによってキューティクルの剥がれ(ダメージ毛)や消失(重度ダメージ毛)が起こる。

 今まで主流だった髪全体へのカラーリングでは、毛先に向かうほどダメージが大きい傾向だったが、昨今インナーカラーなどが流行し、そのような髪では重度ダメージ毛が内側や顔周りにも発生し、髪全体にダメージレベルの異なる毛髪が混在することがわかった。また、既存のトリートメントに使用されているケア成分の多くはキューティクルに作用するため、キューティクルが消失した重度ダメージ毛への効果は限定的だった。

 そのため、重度ダメージ毛にも効果があり、かつ毛先だけでなく髪全体に対して使える新たなケア技術が必要と考えた。

 研究では、重度ダメージ毛も健康な毛髪と同じように手触りを良くするため、潤滑性の膜(ヴェール)でキューティクルのように毛髪の表面を覆う新しい技術を考案した。様々な状態の毛髪の表面でも吸着できる新しいケア成分を選定し、次にその成分の分散状態をコントロールする技術を確立した。

 一般的なケア成分(シリコーンなどの潤滑成分)は大きな分子なので、均一に吸着することができないため、今回は小さい分子を分散した状態で髪に吸着するようにコントロールし、毛髪上では分子同士がネットワークを形成することで膜に変化する技術を確立した。この技術によって、膜が髪全体を均一に覆うように吸着するため、擦れや水などにも強く、長時間なめらかさを持続することが可能となる。

 髪の指どおり・クシどおりの良さを示すコーミングフォース測定を行った結果、新しい技術で処理した毛髪はダメージ程度によらず摩擦が低下し、健康な毛髪と同程度となった。これは、健康な毛髪と同じくらい指どおりが良いことを表しており、さまざまなダメージの毛髪が混在していたとしても、髪全体の指どおり・毛流れを改善できたと考えられる。
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