ジュポンインターナショナル、自社ブランドとOEMを両軸に成長

週刊粧業 2022年8月29日号 9ページ

カンタンに言うと

  • 工場新設し本格的にヘアケアへ進出
ジュポンインターナショナル、自社ブランドとOEMを両軸に成長
 ジュポンインターナショナル(東京都大田区)は誕生から約半世紀を迎える「ジュポン化粧品」を美容室やサロンを中心にブランド展開しつつ、化粧品OEM事業にも参入し、着実な成長を続けている。

 通常、化粧品業界では「自社ブランド販売」と「OEM生産」を両軸に据えることは非常に難しいとされているが、長年美容室専売として培ってきた確かな安全力・企画力・技術力を武器に両立させてきた。

 OEM事業は無添加・オーガニック化粧品を中心に、スキンケアの製造からスタートした。新たな研究所の設立と研究員の増員により、オーラルケア、ヘアケアと領域を広げてきた。今後、ヘアケア関連製品の製造を多様化するため23年、栃木県宇都宮市に4カ所目となる陽南工場の建設を予定している。

 上岡淑郎社長は1991年に就任した。当時、経営危機に陥っていた同社の立て直しを打診された。就任から3年後の94年にOEM事業に参入した。

 「ジュポン化粧品の開発を続けるだけでは研究員の士気が高まらず、競争原理も働かない。自社ブランドで培ってきた研究力・技術力をさらに生かすため、新たに無添加化粧品の開発に取り組むことにした。自社ブランドを手掛けながら、OEMは自社のライバル会社をつくることになる。ジュポン化粧品は元々、美容室の専売品で当時は訪問販売が主流だったため、通販とはほとんどバッティングしなかった。また、当時は無添加化粧品の市場は小さく、美容室の製品とは性格が異なるものだったことも幸いした。受注は順調に伸び、現在ではOEM事業の売上が全体の8割を占めるまでになった」(上岡社長)

 通販やドラッグストアが得意先の大部分を占めることから、コロナ禍の影響は限定的だった。21年11月期の売上高は前期比116%だった。この上期は横ばいだったが、21年1月・3月にコロナ関連の特注が入っている。実質的に成長を持続しており、この3年は年平均5%の成長を遂げているという。

 「この2年、ヘアケアの売上が伸びており今後、さらに強化していく。近年は積極的に研究員を採用し、3年前と比べると10人増員し16人となった。そのうち、約3分の1にあたる4~5人がヘアケア開発を担当している。過去のデータをみると、営業マンよりも研究員を増やすと売上が伸びる傾向にある。研究所の人員を充実させることで、試作を多く打ち出すことができる」(同)

 研究員と営業マンが連携して新商品を提案する体制をとっている。20年に本社近くに設立した第2研究所には営業マン5人、研究員7人を配置している。さらに事業を拡大していくうえで、宇都宮市の既存工場から車で5分の距離に土地を取得し、23年に陽南工場の竣工を予定している。

 数十億円規模の投資で、既存の工場にはない設備を導入し、本格的にヘアケアに進出する。またインバウンド需要が完全に回復しないことを前提に、海外進出を計画している。
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