花王、プレシジョン・モニタリングを実用化

粧業日報 2022年10月11日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 皮脂RNAモニタリングを活用した肌解析サービスを導入
花王、プレシジョン・モニタリングを実用化
 花王は、健康課題に対し、その原因を精確に同定(プレシジョン・モニタリング)し、さまざまな角度から的確なソリューション提案を行う「プレシジョン・ライフケア」構想を進めている。

 化粧品分野においては、このプレシジョン・モニタリングを具現化した第1弾として、核となる皮脂RNAモニタリング技術を活用し、今の肌の状態を精緻に把握するサービス「Skin Potential Analysis(スキンポテンシャルアナリシス)」の提供を、2022年11月よりスタートする。

 これにより、個人が今の自分の状態を知り、必要なケアを的確に見つけることができる提案を目指す。

 人生100年時代と言われる中、病気にならないだけでなく、より健康的により快適に人生を過ごせることが重視されている。そのための健康や肌に関する情報は簡単に入手できるようになったが、多くの選択肢の中で自分の状態が今どうであり、目指す姿にとって何が最も必要なのかを見極められる眼力も試されている。

 花王は、このような時代背景を受け、中期経営計画「K25」で重視する方向性として、「プレシジョン・ヘルスケア」を掲げ、個人の今の状態を精確に同定することの重要性を提案している。

 これはビューティ領域においても同様で、自分の肌を最もよく知ることが的確なケアへの近道であるといえる。そこで今回、花王は初となるプレシジョン・モニタリングを実装化し、「スキンポテンシャルアナリシス」として提供していく。

 花王は、あぶら取りフィルムで顔の皮脂を採取し、そこからRNAを抽出して網羅的に解析する「皮脂RNAモニタリング」技術を構築している。これまでの研究により、約1万種に及ぶ皮脂RNAの発現情報は、乳幼児アトピー性皮膚炎やパーキンソン病といった疾患の早期見極めに役立つ可能性があることを見出してきた。

 また、これまで把握が難しかった肌性状や肌悩みの内部要因や体内要因の予測が、遺伝子レベルで把握できることも報告している。

 さらに、肌の最外層にあり、肌の美しさを担う角層機能を高精度に解析する研究も進めている。角層を構成する全ての物質を分子レベルで取得し、そのデータを多変量解析することで、角層本来の機能を予測する技術(コルネオスペクトル解析)を確立した。

 「スキンポテンシャルアナリシス」は、皮脂RNAと角層の2つの生体試料をもとに、今肌に起きていることを精緻に把握することを目指す花王史上最高レベルの肌解析サービス。具体的には、美しい肌にとって重要である肌のバリア機能、紫外線に対する感受性、糖化の状態などを12の指標で解析し、各年代の平均に照らして今の自分の状態として結果を表示する。

 最大の特徴は、見た目ではわからない「皮膚内部の情報を豊富に含む生体試料を利用すること」であり、たとえば今現在「肌が乾燥している」という現象は同じであっても、生体試料をもとに個々の肌の乾燥原因を推測し、その人に最適なスキンケアアプローチを導き出すことができるようになる。

 また、このサービスにおいては、自分自身で適切な方法で皮脂RNAと角層を採取すれば、近隣に店舗やアドバイザーがいないような条件でも、精緻な肌状態を知ることができるようになる。
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