コーセー、画期的なメークシミュレーションシステムを開発

粧業日報 2022年11月7日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 高速プロジェクションマッピングと色補正技術の融合で動く顔に追従
コーセー、画期的なメークシミュレーションシステムを開発
 コーセーは、東京工業大学 渡辺義浩研究室が保有する最先端の高速プロジェクションマッピング技術と、同社が開発した肌の反射特性から適切な色を投影できる色補正技術を組み合わせることで、実際の顔で体験できるリアルなメークシミュレーションシステムを開発した。

 同システムは8月17日からコンセプトストア「Maison KOSÉ銀座」にてビューティアトラクションとして展開しているメークシミュレーター「COLOR MACHINE」に応用されている。なお、「COLOR MACHINE」は2023年1月開催の世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2023」に出展される。

 同社では一人ひとりがもつ多様な美しさを大切にしており、カラーメークにおいても顧客ごとに異なるニーズに合わせた価値提供を目指している。一方で数多くのメーク商品の中から、自身に似合うものを選び出すことは容易ではなく、選ぶ過程を楽しみながら、より納得して自分に合った商品を選択できるサービスの開発を目指した。

 既存のメーク選択を補助するツールとしてはスマホアプリで動作するメークシミュレーターが知られているが、研究では実際の顔を使ったよりリアルなメーク体験を生み出せないかという着想から、プロジェクションマッピング技術に着目した。メークでは目や口といった表情による動きが大きい部分への投影が不可欠であるため、それらに対応できる高速投影技術を有する東工大 渡辺義浩研究室との共同研究を実施した。さらに、狙った色をメークとして反映させるために、同社にて肌の光反射特性を踏まえた色補正技術を開発した。これらを組み合わせることで、動きのある顔上でも実際に化粧をしているような自然な仕上がりを実現できる没入感のあるメークシミュレーターの開発に成功した。

 実用化にあたっては、人の目は約100分の1秒のずれを見分けると言われているため、人の顔の動きに高速で追従するシステムが必要だった。東工大 渡辺義浩研究室の有する高速追従の技術をメークでの応用に最適化すべく、共同研究により、顔の表情を高速に認識する技術と、表情に応じたメーク映像を瞬時に生成するグラフィックス技術の改良を行った。また、高速な映像投影を実現すべく、1秒に1000回もの映像を更新できる特殊なプロジェクターを採用することで、顔の動きにぴったりと追従する自然なメーク投影を実現した。また、追従性を高めたことでメークがずれて目に強い光が入ることがなくなり、まぶしさを感じることなくメークを楽しむことができるようになった。

 さらに、プロジェクターからメークの測色値をそのまま投影しても実際のメークと色がずれてしまうという課題に対しては、プロジェクターの光学的な特性を精緻に計測し、投影した色とそれが肌で反射して実際に目に見える色の関係を解析することで、独自の色補正式を構築した。これにより、補正なしの場合と比較して大幅に実際のメークの印象と近づけることに成功した。

 このように様々な技術を組み合わせることで、動きのある顔上で自然なメークを短時間でいくつも試すことのできるメークシミュレーターを完成させた。こちらは8月17日より「Maison KOSÉ銀座」にてビューティアトラクションとして展開しており、これまで実際に体験した顧客からは高い評価を得ている。10月集計時点までに体験した119名を対象としたアンケートでは、10点満点中で満足度が平均9.8点(9点以上が94%)、自然さが平均9.3点(9点以上が80%)となっており、メークアップ商品を選ぶ過程を楽しんでいることや、違和感のない自然なメークが再現できていることが裏付けられた。

 今後はメークレッスンや店頭でのタッチアップ、イベントなどへの応用も検討していく。
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