イル・ヴリール、カンボジアのシルクを用いた化粧品で貧困解決に貢献

週刊粧業 2023年1月1日号 84ページ

イル・ヴリール、カンボジアのシルクを用いた化粧品で貧困解決に貢献
 イル・ヴリールは、2016年からカンボジアにおける貧困を解決すべく、カンボジア政府とも連携し、現地で生産されるゴールデンシルクを用いた化粧品開発に取り組んでおり、今展示会にて「#sdgscosmetics」を掲げ、OEMやサロンへの導入を提案する。

 シルク産業は、カンボジアの伝統文化である。しかし2020年頃には、原料である絹糸は輸入の割合が増え、コロナ禍の影響を受け、カンボジアの養蚕農家の数はますます減少していった。

 そこで同社は、カンボジアの養蚕業の復興を目指し、国際協力機構(JICA)とカンボジア政府とともに養蚕業振興プロジェクトを始める。

 養蚕農家を訪問し、質の良いシルクプロテインができる蚕の品種を探し、養蚕農家には健康な卵と、餌となる桑の苗の提供を行った。また同社では、今後全てのシルクプロテインを現地の契約農家から購入していく。

 農家が育てた繭は、カンボジア王立農業大学(RUA)に運ばれる。同社の取り組み以前は、カンボジアに繭から美容成分を抽出する技術が存在しておらず、国内で行えることは絹糸を生産する一次産業のみにとどまっていた。

 そこで、カンボジアで育てた繭を現地で化粧品にすることを目指し、RUAに「イル・ヴリールラボ」を作り、美容成分を抽出するための機器を導入した。

 イル・ヴリールラボでは、シルクから美容成分を抽出する技術に明るい教授をタイから招待し、教授と学生に技術指導を行った。

 現在、54種のシルクのうち、美容成分を最も多く含む種類を特定している。抽出したシルクプロテインに評価試験を行い、活性酸素の除去や、コラーゲンを破壊する成分の産出を阻害する効果において高いスコアが記録された種類を特定し、美容成分を抽出している。

 商品としては、洗顔石けんとして枠練り石けんを打ち出していく。石けんを製造するための工場は比較的認可のハードルが低いことから、カンボジアでも工場を設立し、現地の雇用につなげていく。

 「現地の農民は生活が苦しく、繁忙期には子どもですら農作業を手伝う。自社PBでもゴールデンシルクを用いた化粧品販売は行っているが、さらに多くのシルクを購入するため、OEM事業に乗り出した。商品には当然こだわりを持ったうえで、間接的な支援ではなく、貧困解決にダイレクトにつなげることで、真のSDGsの達成に取り組んでいる」(加藤和則社長)
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