化粧品・医薬部外品の有効性および安全性の評価サービスを提供しているDRCは、国内3拠点(大阪・東京・札幌)・海外2拠点(タイ・中国)で、三次元皮膚モデルを用いた評価試験や耐水SPF測定試験、アトピー素因保有者によるパッチテストなど皮膚に関する様々な評価試験を行える環境を整えている。
また、フランスの現地法人(SOLA)ではヒト摘出皮膚を用いた試験も行っている。
技術開発室部長の本多達也氏に原料・製剤の有用性評価のニーズについて話を聞いた。
――コロナ禍で評価試験のニーズに変化は見られますか。
本多 全体的な傾向は変わらず、ヒト臨床の有効性評価試験の依頼が多い。従来の評価法に加え、差別化や付加価値を意識した評価を取り入れたいといったニーズが高まっている。
例えば、皮膚計測機器での評価に加えて、画像解析技術を活用した肌解析を取り入れた試験が増えている。
――昨年12月には紫外線防止効果の新表示としてUV耐水性表示が開始されました。UV耐水性表示用試験に関する依頼状況はいかがですか。
本多 依頼に対し、現在は少しお待ちいただいている状況だ。2年前から耐水性試験をスタートしてノウハウを蓄積してきたが、納期短縮が至上命題となっている。引き続き試験の精度と効率を高め、短納期化を実現していく。
――フランス現地法人「SOLA」で実施しているex vivo試験の稼働率はいかがですか。
本多 SOLAはヒト摘出皮膚を使用して製剤評価試験ができることを看板にしているが、実際には製剤だけでなく原料のスクリーニングや皮膚科学の基礎研究の需要も多い。
弊社では、同一ドナーから摘出され大きさや厚さが均一に整えられた皮膚片を多数入手できるため、in vitro試験と同様に比較検証できるコントロールスタディを実施できる点に関心を持っていただいている。また、日本人技術者が実験計画の相談に応じていることにも安心や信頼を感じてもらえている。従来のin vitro試験と差別化できるデータが得られることから、リピート率も高い。
日本香粧品学会やSCCJ(日本化粧品技術者会)など国内の学術大会でもex vivoの手法を取り入れた演題が増えてきている。今後も研究者の間でex vivo試験に対する理解が進むことを期待したい。
――中国では国家薬品監督管理局(NMPA)の認証を取得し、薬事申請と試験を一括で受託するサービス(写真)を展開されています。
本多 中国においても、当社が技術的なサポートをすることで日本と同等の評価試験を行える体制が整う。
NMPAから化粧品登録備案用試験機関の認定を取得し、現地で日本人スタッフが対応する体制を整え、日本企業からの試験受託を開始した。試験に加えてNMPAへの登録備案申請業務や中国化粧品原料コードの登録業務も代行する。
日本での化粧品・原料評価の経験を活かし、中国でも申請用のガイドライン試験だけでなく、原料から最終製品まで各段階で目的に合わせて試験を提案できるのが当社の強みでもある。中国でも日本と同様に評価試験を受託できる体制を整え、日本企業の中国市場開拓をサポートしていきたい。