ミルボン、毛髪強度は根元付近から失われ始めることを発見

粧業日報 2023年2月16日号 4ページ

ミルボン、毛髪強度は根元付近から失われ始めることを発見
 ミルボンは、パナソニックと山口東京理科大学 佐伯政俊講師との協働により、根元から毛先にかけてのミクロ構造の変化を解明し、毛先で顕著になるダメージ現象は根元付近から始まっていることを見出した。

 今後は、毛先にかけて悪化する毛髪内部のミクロ構造の変化をケアすることで、美しくしなやかな状態を維持できる高効果ヘアケア製品に応用していく。

 毛髪はヘアカラー、ヘアアイロンなどの美容施術や紫外線によってダメージを受け、手触りや見た目が悪くなる。特に生え始めてから月日の経った毛先に近い部分はダメージが蓄積し、手触りや見た目が悪化した状態になっている。そのため、ダメージに対するケア技術の研究は、主に毛先部分を想定して行われてきた。

 研究では、ダメージ現象が進行する前の初期段階から継続してケアすることができればより根本的なケアにつながると考え、根元から毛先にかけての変化を調べることでダメージ現象の初期症状の解明に取り組んだ。

 まず、根元から毛先にかけての毛髪の変化を調べるため、根元から採取した毛髪を4分割した。それぞれの部位についてしなやかさの指標となる毛髪強度を調べたところ、根元付近(10cm~)から低下し始め、毛先にかけて進行することがわかった。このことから、毛先で顕著になるダメージ現象は、すでに根元付近から始まっていることがわかった。

 続いて、根元から毛先にかけての毛髪内部のミクロ構造の変化を調べるため、毛髪強度に関わるとされる毛髪組織のミクロフィブリルの状態を大型放射光施設「SPring-8」のマイクロビーム-小角X線散乱法(µ-SAXS)で調べた。その結果、ミクロフィブリルが根元付近からダメージし始めていることを発見した。さらにその原因を探るため、ミクロフィブリルを構成するタンパク質の状態を「SPring-8」の赤外分光法で調べたところ、根元付近からタンパク質構造の崩れが始まっていることがわかった。

 これらの結果から、根元付近から始まっている毛髪強度の低下は、「ミクロフィブリルを構成するタンパク質の構造が崩れてしまい、ミクロフィブリルにダメージを生じるため」であることがわかった。
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