コーセー、まつ毛の「18-MEA」と親和性のあるマスカラ素材を開発

粧業日報 2023年5月23日号 5ページ

カンタンに言うと

  • ダマ付きしにくく、目元のボリュームアップを実現
コーセー、まつ毛の「18-MEA」と親和性のあるマスカラ素材を開発
 コーセーは互応化学工業との共同開発により、まつ毛に含まれる「18-メチルエイコサン酸(18-MEA)」との親和性をもたせることで、「ダマ付き」や「束付き」しづらく、まつ毛のボリュームアップが可能なマスカラ素材を開発した。これにより、従来の化粧持ちの良さに加え、ボリュームアップ効果をさらに高めることが可能となった。

 なお、今回の研究成果は7月16日発売の「ファシオ ウルトラ ウォータープルーフ マスカラ(ボリューム)」に応用される。

 従来まつ毛の量を多く見せるボリュームアップ効果のあるマスカラには、まつ毛への付着性を高めることを狙いとし、タック性(べたつき)の高い成分が多く配合されてきた。しかし、これらを用いたマスカラはまつ毛に付着しやすい反面、不均一な付着になりやすく、ボリュームを出すために重ね付けすると「ダマ付き」や「束付き」といった好ましくない状態になりやすいという課題があった。そこでタック性に依存せずにまつ毛への付着性を高めることで、これらの課題を解決するマスカラ素材の開発に取り組んだ。

 今回、まつ毛への付着性を高めるにあたり、タック性に代わる性質として注目したのが、まつ毛や毛髪の表面に存在する「18-メチルエイコサン酸(18-MEA)」という物質との親和性だった。

 この物質と類似した分子構造を素材に持たせることで、素材がまつ毛と選択的に付着することが期待できるという仮説のもと、この構造をマスカラのボリュームアップ効果に欠かせない「皮膜形成剤」という素材に組み込むことで、新たなマスカラ素材の開発に至った。

 実際、この開発素材の付着の選択性を評価したところ、マスカラの塗布に使われるナイロンブラシよりもまつ毛への付着量が約1.4倍大きく、開発素材はまつ毛に選択的な付着性を有していることがわかった。また、タック性について既存の皮膜形成剤と比較したところ、開発素材は物理的に付着することが少なく、狙い通りの性質をもっていることが確認できた。

 開発素材を配合したマスカラ(開発品)のボリュームアップ効果とカールキープ効果の検証を行ったところ、従来品よりもボリュームアップ効果に優れており、ダマ付きや束付きも見られなかった。化粧もち効果についても、10時間後もまつ毛はメーク直後のカール度合いを持続しており、代表的な化粧くずれであるにじみもないことが確認できた。

 今回の開発素材は、まつ毛だけでなく、眉毛や毛髪にも選択的な付着効果を有することが期待されることから、アイブロウやヘアワックスなどの他製剤への応用も検討していくという。
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