ナノ化技術を強みとする研究開発型OEMの天真堂は、今年度から提案品目を実績豊富なヘアケア・スキンケア・オーラルケアの3つに絞り込み、新規受注が好調に推移している。
上期の振り返りと下期の施策について、酒井裕一郎社長に話を伺った。
――上期を振り返っていただけますか。
酒井 クライアントの大型商品が終売した影響があったものの、育毛剤やヘアオイルなどヘアケアの新商品が売上をカバーし、上期は前年同期比でほぼ横ばいで推移した。
ヘアケア以外にオーラルケアも好調で、当社のナノ化技術を活用して原料を付加価値化し、歯科医と共同開発したハミガキジェルは5月の発売から既にリピート受注が入っており、通期では前年実績を上回る見通しだ。
当社は、日本トップクラスのナノ化技術を有していると自負している。今年度から、企業間同士のつながりを広げていく協業主義のビジネスモデルを推進しており、原料のナノ化はまさにその一環で、今まで付き合いのなかった同業他社から原料のナノ化に関する問い合わせが増えてきている。
――異業種から化粧品業界に参入するクライアントへ向けて、貴社のアピールポイントを改めてお聞かせください。
酒井 初めてこの業界に参入したクライアントが一から処方を組み立てることは非常に困難であり、既に実績のあるストック処方からすぐに商品化を提案できることがOEMで重要なポイントになる。
当社には医薬部外品のストック処方だけでも約70種類あり、そこからヘアケアを中心にスキンケアやオーラルケアの商品化へと至るケースが多い。また、我々のセールスポイントとして自社工場を有しており、スピーディーに提供できる体制を有している。
来年はさらなる納期の短縮化に向けて、容器調達の面で新たな取り組みに注力していく方針だ。下期以降の取り組みとしては、国内クライアントの海外展開をより一層サポートしていく。
その一環として、今月から新たにデジタル貿易プラットフォームの開発・提供を手がけるスタンデージ社と協業し、化粧品メーカー・ブランドオーナー向けの海外進出支援サービスを新たに開始した。
それと併せて商品の立ち上がりが早く、既に実績があると販促がしやすいといったメリットがあるため、海外でヒットしている商品を当社が窓口となって日本に輸入し、OEMのクライアントがそれを販売できるようなフォロー体制も同時に強化していく。
この記事は粧業日報 2024年8月28日号 4ページ 掲載
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