粧業日報 2024年10月29日号 5ページ
ライオンは、高度なプラスチック資源循環型社会の実現に向け、リサイクル性を向上させたつめかえパックを初めて採用した「ルックプラス バスタブクレンジング クリアシトラスの香り つめかえ用大サイズ」を数量限定で発売する。
日用品で用いられるつめかえパックの多くは、複合素材よりなることから、容器としてリサイクルすることが困難だった。今回、東洋インキと共同で、洗剤などの日用品の包装容器にも利用できる「剥離リサイクル技術」を開発した。複合素材を分離し、高純度な単一素材としての回収が可能になることで、プラスチックリサイクルの促進が期待できる。
ライオングループは、「サステナブルな地球環境のための取り組み推進」を重要課題と位置づけ、2019年に「LION Eco Challenge 2050」を策定し、製品・容器包装へのプラスチック使用量を削減すること、使用したプラスチックを回収し、再利用することを目指している。
現在、つめかえ製品は製品全体の出荷量の約8割を占め、年間約35万トンものプラスチック使用量の削減に貢献しているが、つめかえ製品の主な包装形態であるつめかえパックの多くは、複数の素材のプラスチックフィルムが貼り合わされてできていることから、容器としてリサイクルすることが難しく、その多くがごみとして廃棄されていることが問題となっている。
そこでライオンは、東洋インキと共同で、洗剤などのつめかえパックのリサイクル性を向上する「剥離リサイクル技術」の確立に取り組んだ。
つめかえパックを含む「軟包装」と呼ばれるフィルムパッケージは、用途ごとに異なる要求性能を確保するために、ポリオレフィンやポリエステルなどのフィルムの間に、印刷インキと接着剤といった多素材を用いる複層構成になっている。これが、質の高いリサイクルを阻害する要因の1つとなっていた。そこで、複数の素材のフィルム同士を剥離し、印刷用インキをプラスチックから取り除くことにより高純度な単一材質として素材を回収する剥離リサイクル技術を開発した。
この技術では、水中でのアルカリ処理により接着剤層が溶解し、ナイロンやPETからなる表フィルム層とポリエチレンからなるフィルムが剥離。剥離後に、比重の大きい表フィルム層は沈み、比重の小さいポリエチレンフィルムは浮いてくることによって、高純度なポリエチレンフィルムを回収することが可能だ。
ライオンは、この技術をもとに東洋インキとともに改良を重ね、洗剤などの内容物の品質や物理的な強度を担保しながら、リサイクルが容易にできるつめかえパックの製品化に至った。
今後は、つめかえパック製造時に発生した端材など、製品として使用されなかった積層フィルムを回収し、再びつめかえパックのフィルムとして活用することを目指す。2025年中の市場導入を目標に、検討を推進していく。
また、つめかえパックリサイクルの社会実装に向けては、業界の垣根を越えて社会全体で取り組む必要があることから、この技術をつめかえパックの標準的な技術とし、広く利用できるよう、リサイクルしやすい包装容器の設計ガイドラインの策定にも取り組んでいく。
この記事は粧業日報 2024年10月29日号 5ページ 掲載
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