資生堂、手話を用いたオンライン美容相談サービスを開始

粧業日報 2024年11月25日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 聴覚障がい者へのパーソナルな美容体験の提供と職域拡大を目指す
資生堂、手話を用いたオンライン美容相談サービスを開始

 資生堂は、オンライン総合美容相談「Online Beauty」にて、聴覚障がい者を対象とした無料のオンライン美容相談サービスを開始した。2024年10月からのプレオープン期間を経て、11月7日より本格始動している。手話や口話、チャット等の方法を取り入れ、聴覚障がい者が美容カウンセリングを受ける際に存在する物理的・心理的ハードルを解消し、パーソナルな美容体験を提供する。

 同時に、障がい者の職域を広げる「職域拡大プロジェクト」として、多様な人財が美容職として活躍できる仕組みづくりにも取り組む。2021年には職域拡大プロジェクトの第1弾として視覚障がい者の社員が通信営業として働けるシステムや体制を構築し、採用後、営業担当として活躍している。

 今回の美容職への職域拡大は、第2弾の位置づけで行われる。サービス開始段階においては、資生堂パーソナルビューティーパートナー(PBP)のうち、デジタルを中心に活動しているオムニPBP2名が手話を学びながらカウンセリングを担当する。並行して手話スキルを有する障がい者の美容職採用を進めており、将来的には手話を日常的に使っているPBPが担当する予定だ。応対を通じてノウハウを蓄積しながら、さらに利用しやすいサービスに発展させていく。

 「デジタル活動に特化したオムニPBPは、一人ひとりのニーズに合った美容体験を提供することを目的に、カウンセリングだけではなく個人SNSやライブ配信、YouTube、TikTokなどの活動を行っている。その中で2024年5月より、Instagramアカウントにて『手話による美容情報発信』を開始した。聴覚障がい者もわかりやすく美容情報を入手できるよう発信を行っている」(同社)

 美容カウンセリングの利用について、社内外の聴覚障がい者にヒアリングを行った結果、「手話ができるスタッフがいないため気軽に相談できない」「筆談だと時間がかかり頼みづらい」「ガヤガヤしたところでは聞き取りづらい」といった物理的・心理的ハードルがあり、結果として利用を諦めてしまうことが少なくないことがわかった。これらの課題を解決すべく、社内の当事者が中心となりプロジェクトを立ち上げ、応対方法や伝わりやすい手話表現の開発など、約10カ月かけてサービスを構築した。サービスでは、当事者のニーズに対応した最適なコミュニケーションの方法を取り入れ、パーソナルな美容体験を提供する。

 約1カ月間のプレオープン期間では、「手話で気軽にカウンセリングを受けられることが良い」「聴覚に障がいのある人にとって、このような場があることは嬉しい。メークがさらに好きになった」といった声が寄せられた。事後アンケートによる顧客満足度の平均は、5段階評価のうち4.9(10月末時点)と総合的に高く、ニーズに沿ったサービス展開ができていることがわかった。

 本格始動にあたっては、カウンセリング進行をよりスムーズにするため、開始時にチャットにて全体の流れや注意事項を案内するなど、丁寧なコミュニケーションを心掛けるほか、利用希望者の多い夕方の時間帯に予約枠を増設するなど利便性を高めている。今後も、顧客の声を取り入れながらサービスを向上させていく。

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