MP五協フード&ケミカルは1964年に世界で初めて天然物由来の多糖類「タマリンドガム(タマリンドシードガム)」の工業化に成功し、60年の節目の年を迎えた。食品用途ではグリロイドの製品名で販売されている。増粘やゲル化にとどまらず、離水抑制やでんぷんの老化抑制、冷菓の氷晶安定など様々な物性を有する多糖類として評価されてきた。
ソース・たれ、アイスクリーム、ドレッシングなどを中心に幅広い用途で採用が進んだ。直近では急ピッチで化粧品原料として普及している。化粧品原料としては、高度に精製したタマリンドガムをTAMAVISCOの製品名で販売している。天然物由来であることからSDGsや環境配慮で脱石油化学製品にシフトする動きに合致し、需要が伸びている。
化粧品の分野では、グリセリンの保湿作用を長時間維持する保湿ブースト作用がある多糖類として浸透した。近年では前述のSDGsの気運の高まりもあり、大型製品で合成ポリマーから切り換えられ、販売ボリュームが大きくなっているという。2030年に向けて、多糖類をはじめ化粧品原料の売上を大きく伸ばす計画を立てている。化粧品市場はトレンドの影響が大きい。特にヨーロッパではナチュラル志向や脱石油化学製品へのシフトが加速していることから、TAMAVISCOのポテンシャルに期待している。昨年末に現地の企業と代理店契約を結び、本格的な営業活動を開始した。
TAMAVISCOに限らず、ニーズに合う製品を提供するサプライヤーの探索を国内外問わず行い、幅広い取扱原料を組み合わせて、データ取得や処方開発を行うことで、トレンドに合った化粧品開発をサポートしていく。データや処方の提供にとどまらず、商品コンセプトからの提案も行っている。
従来は自社製品の物性に焦点を当てて、顧客の処方開発者や研究者に紹介していた。最近は企画会社やOEM、メーカーのマーケティング部門の担当者にもアプローチして、コンセプトを含めた包括的な提案を行っている。社内ではこれをコンセプト営業と称していて、例えば、植物を使ったエキスなど、原料そのものを紹介するのではなく、原料の組み合わせやコンセプトを提供し、クライアントがより最終製品をイメージしやすい状態で提案する。
関連キーワード
この記事は週刊粧業 2024年12月2日号 9ページ 掲載
■特集/化粧品原料~持続可能性を意識した取り組みが必修◎岩瀬コスファ~敏感肌ケアや気分改善を叶える温泉水由来の化粧品原料を提案◎日光ケミカルズ~染毛料の色持ちや毛髪補修・ツヤ感をもたらすヘアケア原料の提案を強化◎一丸ファルコス~プロテアソームの活性メカニズムを解明、学術論文としての権威性も◎香栄興業~カスタムオーダー特注原料を提案、発酵による機能性向上の提案も◎マツモト交商~社会的なウェルビ...
バラ売り
【週刊粧業】2024年化粧品業界 基礎データ
バラ売り
【週刊粧業】2025年化粧品・日用品業界トップの年頭メッセージ
バラ売り
【週刊粧業】2024年週刊粧業選定・化粧品日用品業界10大ニュース
バラ売り
【週刊粧業】2023年度国内化粧品売上高上位30社
バラ売り
【週刊粧業】東西で連合新年会
バラ売り
【週刊粧業】ミンテルジャパン、「ディシジョンメイキング」の差を縮めることがグローバルでのプレゼンス向上の鍵に
バラ売り
【週刊粧業】コーセー、タイ発ウェルネスブランド「パンピューリ」を買収
バラ売り
【週刊粧業】マンダム、温冷感の新感覚ヘアケア「レバタ」を発売
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。